SMCにおけるLiquidityの基礎
スマートマネーコンセプトにおける「Liquidity」の基礎を解説していきます。
スマホではチャート画像が見にくいため、PCからアクセス・閲覧を推奨
Liquidityは、視覚的には以下の緑のラインです。
※上記図、全てのliquidityを図示したわけではなく、主な部分のみラインを引きました
アルゴリズムの原則:
アルゴリズムは、Liquidityを求めて価格を動かす
「価格はなぜある一方へ動く?」の回答の1つが「その方向にLiquidityがあるから」
Liquidityは、一般トレーダーが損切り等の注文を置くところ。
つまり、アルゴリズムは無知・感情的にエントリーする一般トレーダーが成功することを許さない。
▼アルゴリズムとは
SMCは、
Interbank Price Delivery Algorithm(IPDA/イプダ)というアルゴリズム(=AIプログラム=自動売買ソフトウェア)によって、全ての値動きが操作されている
...という前提で理論が成り立っています。
本記事内容は、情報の信頼性を担保するため、SMC考案者であるICTがYouTubeで公開している以下動画内で解説されている事に基づいています。
▼参考動画
ICT Mentorship 2022 動画プレイリスト >>
ー もくじ ー
視覚的なLiquidityの定義:swing high/swing low
「Liquidityはどこにある?」の答えはシンプル
Liquidityはswing high・swing lowにある、これが基本
つまり、Liquidityをチャート上で正しく視認するには、まず以下定義を覚えます。
▼覚えるべき定義
- swing high
- swing low
swing high, swing lowの定義
ICTはswing highを以下のように定義しています。
- 「3本」の連続するローソク足を見て、
- 真ん中のローソク足の高値が両隣よりも高い場合、
- 真ん中のローソク足ヒゲ先がswing high
▼swing highの例
▼swing highではない例
以下矢印ローソク足の高値は「片側が自分よりも高い」ので、swing highではありません。
swing lowは、swing highを逆にしただけです。
▼swing lowの例
swing high=Buy side Liquidity
上にあるのがBuy side Liquidity。
swing low=Sell side Liquidity
下にあるのがSell side Liquidity。
・・・
というわけで、以下緑線で示したものは全てswing high/lowでLiquidityです。
当然、時間足ごとにLiquidityがある
以下例、1時間足で見るとswing highではありませんが...
▼下位足(15分足の例)で見てみると、swing highになっているので、15分足レベルではLiquidity。
意味的なLiquidityの定義
難しく考える必要はありません。
- Liquidity = 一般トレーダーの損切り等注文が溜まっているところ
Buy side Liquidity = 買い注文が溜まっているところ
Buy side Liquidityは、
- 上手くショートに入れた一般トレーダーたちの損切り(買い注文)
- 上へブレイク狙いの一般トレーダーたちの買い
が大量に発生するところです。
Sell side Liquidity = 売り注文が溜まっているところ
Sell side Liquidityは、
- 上手くロングに入れた一般トレーダーたちの損切り(売り注文)
- 下へブレイク狙いの一般トレーダーたちの売り
が大量に発生するところです。
Liquidityの性質【最重要】
アルゴリズムは、Liquidityを求めて価格を動かす。
「価格はなぜある一方へ動く?」の回答の1つが「その方向にLiquidityがあるから」
Liquidityは、一般トレーダーが損切り等の注文を置くところ。
つまり、アルゴリズムは無知・感情的にエントリーする一般トレーダーが成功することを許さない。
▼アルゴリズムとは
SMCは、
Interbank Price Delivery Algorithm(IPDA/イプダ)というアルゴリズム(=AIプログラム=自動売買ソフトウェア)によって、全ての値動きが操作されている
...という前提で理論が成り立っています。
Liquidityは「アルゴリズムの動作原則」を構成する重要な1要素です。
"磁石"のようなもの
ICTは、LiquidityをPrice Magnet/プライスマグネット、つまり「価格を引き付ける磁石」と表現します。
チャートを眺めていて、もし
あれ、なんか勢いがあって一方的に価格が動いてるな...なんでだ?
と思うことがあれば、
その先にLiquidityがあるのでは?
そのLiquidityに引き寄せられているのでは?
と考えると答えが見えるかもしれません。
アルゴリズムは、一般人の売りで買い、買いで売る【ストップ狩り】
なぜ、注文が溜まっているところ=Liquidityに向かって価格を動かしていくのか?
それは、アルゴリズムが
- Stop Hunt(ストップ狩り)を行い、一般トレーダーの損を確定させるため
- 一般トレーダーにトレンドを勘違いさせ、誤ったエントリーを誘うため
です。
ロング損切り直後に反転上昇していった。ムカつく...
レジスタンスでショート安心してたら全戻しで損切り。ムカつく...
「上にブレイクした!」と思いロング直後に急落して大損。ムカつく...
このように「エントリーしては狩られ、狩られた後に狙ってた方向へ動き出す」を頻繁に食らってイライラしたことがあるはず。
アルゴリズムが意図的に狙ってそういう動きをしている・そのようにプログラムされている、という点を理解してください。
▼まず、一般的なサポレジラインを使って分析するトレーダーが、このようなサポート・レジスタンスを見ているとします。
▼レジスタンスの矢印high部分には一般トレーダーの「買い」注文、サポートを割る部分には「売り」注文が置いてあるところです。
サポートを割ったところでロングを売り(損切り)、「サポート割ったぞ!チャンス!」と新たに感情的なショートが入ってきます。
▲ここまでが、一般トレーダー目線でした。
一方、アルゴリズムは逆に、
- 一般トレーダーの売り(Sell side Liquidity)で買い上げる
- 一般トレーダーの買い(Buy side Liquidity)で売り抜ける
ということをやります。
▼まず、Sell side Liquidityのラインより深く突き刺します。
▲ここでアルゴリズムは一般トレーダーのロング損切りを確定 & ブレイク狙いの新規売りを誘発させ、売りを吸収するようにロングを積みます。
この積み上げたロングの利益を確定させるには、高値で売りたい。
つまり高値で買ってくれる人たちが必要です。
▼アルゴリズムは、高値で買ってくれる人たち=ショート損切りが置いてあるBuy side Liquidityが見えています。
▼アルゴリズムは、高値で買ってくれる人たちにSell side Liquidityで積んだロングを売りつけ利確します。
▼結果的に、一般トレーダーはロングもショートもストップ狩りされ、アルゴリズムのロングの餌食に。
このように、SMCでは
一般トレーダーの損が確定する価格帯=Liquidityに向かって価格を動かしていく、これがアルゴリズムの動作原則(の一つ)だ
と考えます。
▼ちなみに
次の章で詳しく書くことですが、図の矢印部分のように「2点以上で並ぶ(ほぼ)等しい高値」を「Equal High」といい、単一のBuy side LiquidityよりもアルゴリズムのターゲットにされやすいLiquidityです。
▼ゴールド1時間足の例
▼矢印部分、FOMCがありました。
Buy side Liquidityを取りショーターの損が確定した直後に、Sell side Liquidityを取ってロンガーの損が確定しました。
つまり、ショートもロングも全員焼き尽くされて誰も儲けが出ていない状況。
アルゴリズムはLiquidityを狙いに行くことで、無知・感情的なトレーダーが簡単に儲けを出せない状況を作りだしているということです。
誰も楽に儲けられないことを確認した後になってようやく、アルゴリズムが「本当の上昇」を始めたことを感じ取れますね。
▼このような例は、探せば無限に見つかります。
ここまでが、Liquidityの基礎的・本質的な解説でした。
次の章からは、Liquidityの基礎を拡張していく内容になっていきます。
Equal High, Equal Low
Equal High・Equal Lowは、吸引力がさらに強いLiquidity
定義・性質
▼Equal High
ほぼ等しい高さで並ぶ高値で、単一のBuy side Liquidityよりもアタックされやすい。
▼ Equal Low
ほぼ等しい高さで並ぶ安値で、単一のSell side Liquidityよりもアタックされやすい。
▼"ほぼ"等しい高さ
全く同じ価格ラインでなくとも、視覚的に「ほぼ」同じ高さにあればEqual High/Lowと見なします。
「ほぼ」がどのくらいかは感覚的・直感的なものです。
「何pips以内だとEqual High/Low」という厳密な定義はないので、個人の経験による部分だと理解してください。
高さが完全に等しくないなら、トレンドラインを斜めにすればいいのでは?と考えるかもしれませんが、SMCではトレンドラインを斜めに使うことはありません。
一番高いswing highに合わせた水平ラインを引きます。
狙われやすい理由
なぜ、Equal High/Lowは狙われやすいのか?
Equal Lowを例に説明します。
▼Equal Lowは、一般的なサポレジラインで分析するトレーダーにとって「サポート=ロング」のポイントで、サポート直下に損切りを置きがち。
▼アルゴリズムは、Equal Lowをサポートではなく、売り注文(=ロング損切り)が溜まっている「明らかに見え見え」のLiquidityとして捉えるので、ロングの損を確定させに行く。
つまり、Equal Lowは一般トレーダー達にロング損切りラインとして使われているので、
「そんなやつらを簡単に儲けさせてやるものか!」
とアルゴリズムはEqual Lowを襲いに行きやすい、ということです。
▼Equal High/Lowに関連するXポスト
「どのliquidityに引き寄せられそうか」を考える時、分かりやすい候補の1つが「Equal Low」。
図の矢印部分のように、「2点以上で並ぶ(ほぼ)等しい安値」をEqual Lowといい、単体liquidityよりもアルゴリズムのターゲットにされやすいliquidity💡
(上にある場合"Equal High") https://t.co/He74kT7tmh pic.twitter.com/1F4FBMzDHx— Yuki📈|ICT SMC Trader (@YUK1_WORLD) July 6, 2024
▼ほぼ等しい安値が2点のみならず、5点以上連続している例
#ユーロ円 5分足 SMC
equal lowは、より狙われやすいliquidity pic.twitter.com/X3EUGMfW5F— Yuki📈|ICT SMC Trader (@YUK1_WORLD) June 28, 2024
Equal High/Lowを見た時の考え方
たとえば、以下のような3点がほぼ等しいクリーンなEqual Lowを見たとします。
▼ ❌アルゴリズムに喰われやすい考え方
完璧なサポートだ、ロングしよう
という「一般トレーダー的な考え」は、アルゴリズムに食われる側になりやすいので注意。
▼ ⭕️アルゴリズム的な考え方
Buy side Liquidityをアタック後、Sell sideにEqual Lowを残したまま。
これはPremium FVGを探してEqual Lowをターゲットにショートか...?
⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎
▼「Premium FVGの"Premium"って何?」という方は、以下記事を。
どうしても色々なSMC概念と組み合わせて分析せざるを得ないので、解説が飛び飛びになって申し訳ないですが...
参考記事
・・・
「Equal High/Lowは吸引力が強い」ということから、他にもいろいろな応用的な考え方ができます。
先ほどはEqual Lowをショートに繋げる例でしたが、Equal Lowをロングに繋げてみます。
▼たとえば、以下のように"上昇トレンド"の状況を仮定します。どこかでロングをしたい。
▼よく見ると、Equal Highを取ったところです。
▼ここにEqual Lowが残っています。
▼Equal Lowの直下には、伸びるのを見てついてくようにロングをした一般トレーダーの損切りが大量に置いてあるところなので、アルゴリズムはここを狙いに行きやすい。
▼もう少し突っ込むと、上昇トレンドなので「ロングの損を確定させた後に上昇していくのでは?」という推測が成り立つところです。
▼そういう状況で、Equal Low直下のDiscountゾーンにFVGがあれば目の付け所かもしれません
▼この後、アルゴリズムの基本原則である以下3つを律儀に行なった後に上昇しました。
- Liquidityを取る(ストップ狩り)
- FVGを埋める
- Discountでロングを積む
▲つまり、Equal Low直下にあるDiscount FVGを待ち構えてロングを検討するのがアルゴリズム的思考ということになります。
・・・以上、Equal Lowを見た時の考え方例でした。
このように、過去データで「Equal High/Equal Low」を探せば、
- Equal High形成、のちに再度上抜けしにくる
- Equal Low形成、のちに再度下抜けしにくる
という動きを何度も何度も繰り返していることが実感できると思います。
▼ドル円 週足のEqual High(151.95円)がアタックされた例
注意:"絶対"はない
当然のことですが、トレードに100%絶対はありません。
つまり、Equal High/Lowは必ずアタックされる保証はありません。
▼例として、一部を切り取って見るとEqual Lowがありその直下にはFVGもあるため、「ここに引き寄せられるのでは?」と考え、
ここをターゲットにショート、もしくはFVGを待ってロングを検討する妥当性は十分あるように見えます。
▼しかし、チャートをさらに俯瞰して見たとき、
- 過去、一方的にSell side Liquidityがアタックされ続けていた
- Buy side Liquidityは残っている(過去のショートが全員生き伸びている)
という状況(つまりバイアス=Bullish)だとすると、
▼Equal Lowを残したまま上昇を継続する、つまり、Equal Lowをターゲットにショートをするとひたすら負け続ける場合も往々にしてあります。
この場合は「Sell sideは十分に狩り尽くしたので、今は短期的にEqual Lowを残しておいてでも、長らく安心しきっているショートを狩りにいく方を優先する状況」ということですね。
これは何にでも言えることですが、
短期足だけ・一部分だけ見てEqual High/Lowをエントリーチャンスと判断するのは早計
これまでに何が起きたか・この先どちらへ向かう可能性が高いか(バイアス)を考慮する
という意識は常に必要です。
Equal High/Lowを認識できるようになった後に、場数を踏んで経験を積んでいきましょう。
Shallow Run
Liquidityを"浅く"sweepすることを「Shallow Run/シャローラン」といいます。
▼Shallow Runしたhigh/lowは、Equal High, Equal Lowと同等とみなします。
▼つまり、
- Liquidityを取ったが浅い場合、Equal High, Equal Low同等に強い吸引力を持つ
- 近い将来このLiquidityをもう一度深くえぐりにくる可能性が予期される
ということ。
▼別の例
Sell side Liquidityをわずかにsweepし"Shallow Run"が発生。Equal Low同等となり、後により深くえぐりに来た。
▼Shallow Run 過去Xポスト
#ドル円 5分足 SMC
再びpremiumまで上がってきてショート積む
↓
sell side liquidity取りに行く
(shallow runからのequal lowなのでさらに狙い目)今日はこの繰り返し。バイアスが明らかな時のSMCの分析のシンプルさはスゴい😌 pic.twitter.com/Twy1OQjB5T
— Yuki📈|ICT SMC Trader (@YUK1_WORLD) September 13, 2024
#ユーロ円 15分足 SMC
⭐️部分が、liquidityの記事で書いた「shallow run」の好例です https://t.co/52793PZgsf pic.twitter.com/PZgBF4oLAs— Yuki📈|ICT SMC Trader (@YUK1_WORLD) July 19, 2024
もちろん、Equal Low/High同様にバイアスに注意します。
- shallow runのみで反転し、上昇が継続してしまうBullishな状況もありえる
- shallow runのみで反転し、下落が継続してしまうBearishな状況もありえる
という点は常に要検討です。
浅いかどうかの基準:10〜20pips以上sweepすれば"深い"
「浅い」と言っても、どれくらい?
という疑問はごもっとも。
「10〜20pips以上sweepしたら、十分にliquidityを取り切ったと判断する妥当性がある」
と考えます。
では9.9pips以下は自動的にShallow Run=Equal High/Lowとして見るか、というとそうでもありません。
Shallow Runかそうでないかの判断は、価格の向かう方向性判断(バイアス)と個人の経験・直感によるところが大きいです。
この基準の根拠は、ICTの以下動画を参照してください(再生地点を指定済み)
前日・前週・前月の高値/安値の重要性
前日・前週・前月の高値/安値は特別なLiquidity。
- アルゴリズムの明確なターゲットとなり得る
- (大きく)反転する可能性がある
- ポジションを持っている場合、(部分)利確を行うことを推奨
ここをアタックした後の反応に注意。
▼日足
日足で前日の高値・安値を順番に見ていくと、
▼このような動きをしていることが多々あることに気付きます。
▼15分足で拡大。
アルゴリズムにとって、前日の高値/安値は巨大なLiquidityに見えています。
- そこをターゲットに向かっていく可能性がある
→ ロング/ショートの利確ターゲットになる - そこを取った後、(大きく)反転する可能性がある
→ ロング/ショートのエントリー検討の起点になる
という点は認識しておくと良い。
▼デイトレーダーであれば、前日高値/安値を毎日チェックしておきましょう。
#ドル円 ←日足 15分足→
1日の始まりに前日高値/pdHighをチェックし忘れると「なんでこんなとこで強く反応してんだ?」ってなることあるから忘れてはいかん(もちろんpdLowも) pic.twitter.com/dwHjDWAEQm— Yuki📈|ICT SMC Trader (@YUK1_WORLD) February 17, 2024
#ユーロ円 1時間足 SMC
週足OBタッチする前に、pdLow(前日安値)を取っているのもポイント。pdLowはアルゴリズムから見ると大きなsell side liquidity。
pdLowを深くアタック→週足Bullish OBタッチ、これでsell プログラムの仕事が終了してbuyプログラムへ切り替わった https://t.co/0gjU3Hunr5 pic.twitter.com/HLU57yRAi7— Yuki📈|ICT SMC Trader (@YUK1_WORLD) June 22, 2024
▼週足・月足
日足と同じ理由で、前週・前月の高値/安値も要チェック。
▼以下「ユーロ円・週足」の例。
一方的に上昇しているものの、矢印部分に注目すると、前週安値を取ったことを燃料にして強い上昇が再開していることが分かります。
▼ドル円 前週高値(pwHigh)で大きく反応した例
#ドル円 SMC
←週足 1時間足→
このhighは、pwHighでした😮 pic.twitter.com/bK2sgdy2Np— Yuki📈|ICT SMC Trader (@YUK1_WORLD) September 19, 2024
・・・
このように、前日・前週・前月の高値/安値は、大きな反応を示す可能性がある特別なLiquidity。
もしそこへ至るまでにすでにポジションを保持している場合、(部分)利確をしておく妥当性が高いポイントでもあります。
また、以下のようなエントリーはハイリスク・ローリターンなので要注意。
- ❌ 高値に近いところ/高値を超えたところでロング
- ❌ 安値に近いところ/安値を割ったところでショート
前週安値/高値は週に1度、前月高値/安値は月に1度しか更新されないので、チェックし忘れに注意。
Institutional Liquidity
「Institutional Liquidity」という単語自体は全く重要ではないので覚える必要はありません。
また、ここまで書いてきた項目と比較して、本章の内容は「頭の片隅に置いておく」程度で大丈夫です。
※ Institutionalは「銀行やヘッジファンドなど大口投資機関」という意味
▼「高値を超えLiquidityを取る→反転する」を予想していたけど、わずかに高値を超えず反転してしまった...という経験は何度もあると思います。
でも、実はこれ「大口投資機関目線(つまりアルゴリズム目線)」で見るとLiquidityを取っているんです、という話。
結論だけ簡潔に書くと、
▼アルゴリズム目線では、Liquidityはヒゲ先だけでなく「始値/終値」にもあるということです。
記事序盤、Liquidity定義の章で「Liquidityはswing high・swing lowにある、これが基本」と書きましたが、これは"応用"として捉えてください。
▼仕組みは単純で、アルゴリズムはヒゲなしの状態でのチャートも同時に見ている、というだけ。
ヒゲなしだと、終値/始値がローソク足の先端になるのでそこがLiquidityになる、というわけです。
▼別の例
ヒゲなしローソク足で見ると、Liquidityを取っていますね。結果、そこから反転しています。
▼ちなみに
これは個人的な体験になりますが、
- アルゴリズムはヒゲなしチャートも見ていて、始値/終値もLiquidityとみなす
ということを知ってから、長らく謎だと思っていた値動きが理解できました。
それは、ドル円が2023年の年末にかけて152円を目前に141円まで大暴落した部分です。
▼以下、その部分の週足チャート。
▲この時「ここのデカいLiquidityをわずか3.5pips取らずにこんなに大暴落するなんて...なんで?」と、どうしても価格の動きが理解できなかったのでした。
▼しかし、この謎は、ヒゲを非表示にすることであっという間に解決。
ヒゲなしで見ると、普通にBuy side Liquidityを取り、普通にリトレースメントしているように見えますね。
300pips以上も深くLiquidityをえぐっていることになるので、アルゴリズムが大暴落をするエネルギーを蓄える(ショートを積む)には十分だったな...という納得がいったのでした。
※本章のソースは以下動画 07:24〜10:32
▼ICT YouTubeチャンネル:Market Structure is Not It
Rejection Blockが効く理由
Rejection Blockとは、Order Block(OB)の一種で、
▼視覚的にはヒゲの根っこから水平に引ける以下のラインのことで、サポレジとして機能する可能性があります。
前章で書いた通り、
「アルゴリズム目線では、Liquidityはヒゲ先だけでなく始値/終値にもある」
ということが、Rejection Blockがサポレジとして効く理屈の前提となっています。
▼ドル円のRejection Block例
161円台へ上昇一直線のキッカケとなった2024年6月4日の下落からの反転部分。
見事にサポートしていることが分かりますね。
上位足ほど影響が大きいので、月足〜日足でチェックをしておくとRejection Blockの効果を分かりやすく実感しやすいかと。
▼参考Xポスト
#ゴールド 日足 SMC
rejection blockは視覚的にこういうやつ。
実体終端〜ヒゲ先までがorder blockのようにサポレジとして機能する可能性。
ヒゲ先を超えたら無効。🔽rejection block過去ポスト(少ないですが)https://t.co/u7Iygzhjow
🔽ICT Rejection Blockの動画https://t.co/3Gvc3HDHDb pic.twitter.com/wdpW6fskHm
— Yuki📈|ICT SMC Trader (@YUK1_WORLD) June 29, 2024
#ドル円 日足 SMC
参考までに、日足rejection block pic.twitter.com/jXT0d6gtFk— Yuki📈|ICT SMC Trader (@YUK1_WORLD) July 12, 2024
よくある間違ったLiquidity
SMCのLiquidityを解説しているとされるネット記事から「いやそれLiquidityの解説になってないから、間違いだから...」というものを色々引っ張ってきました。
以下全て誤りで、SMCではLiquidityとは考えないので、もし以下のような項目を見かけても覚える必要はゼロです。
▼Liquidityではないものたち
- トレンドライン
- チャネルライン
- フィボナッチレベル
- ピボット(など、インジケーターで表示されるライン)
- 出来高プロファイルのPOC
- Supply Zone
- Demand Zone
- Order Block
(OBがLiquidityって意味が分からない...) - ...他にもありすぎて書ききれません
思い出してほしいのが、Liquidity定義の章で書いた「Liquidityはどこにある?の答えは何だったか」です。
「Liquidityはswing high・swing lowにある、これが基本」でしたね。
つまり、インジケーター「ピボット」で表示されるラインにLiquidityはないし、Supply Zone(なんてものはSMCにはありませんが)にもLiquidityはありません。
これら誤った情報を鵜呑みにすると、「結局Liquidityはどこにあるんだよ」と複雑に感じてしまうので注意してください。
ちなみに:
SMCの解説でSupply/Demandを説明する記事/動画が多いですが、Supply/DemandはSMCと全く無関係です。
また、SMCでは、ピボットや出来高プロファイルなどインジケーターで自動表示されるラインは全て「アルゴリズムが認識しない、根拠のないもの」として信用しません。
トレンドラインはLiquidity...ではない
個人的な感覚で一番多いと感じる間違ったLiquidityの解説は「斜めに引いたトレンドラインはLiquidityの一種です」というもの。
外国人SMCパクリYouTuberを筆頭に「Trendline Liquidity」と名付けられているようですが、
- SMCでは、トレンドラインを斜めに引くことはない
→ 斜めに引いたトレンドラインはLiquidityではない
という点は明記しておきます。
SMC分析に斜めのトレンドラインを取り入れるのは究極的には個人の自由ですが、「斜めに引いたトレンドラインはSMCにおけるLiquidityの一種」と定義するのは明確な誤りです。
SMCにおけるLiqudityは「アルゴリズムが認識するLiquidity」
斜めのトレンドラインや、インジケーターで表示されるライン、フィボナッチ・リトレースメントの各レベルをLiquidityと呼びたがる人は、おそらく、
みんなそこでエントリーしたり・損切りで注文を置くよね
注文がたくさんあるところはLiquidity(流動性)だよね
だから全部Liquidityだよ
と言いたいのだと想像しています。
そして、"一般的な定義"はそれで合っています。
ですが、
SMCにおけるLiquidityの定義は「アルゴリズムが認識するLiquidity」なのです。
さらに具体的に書くと、
プログラミングコードによって「これをLiquidityと認識しろ」とロジック上で指定されているものがLiquidity、ということになります。
アルゴリズムは、以下を認識していません。見えていません。考慮しません。
- 斜めトレンドライン(に置かれた注文)
- フィボナッチ・リトレースメントの各ライン(に置かれた注文)
- ピボットや移動平均線などインジケーターライン(に置かれた注文)
- ...その他「Liquidityではないものたち」に書いたライン(に置かれた注文)
繰り返しになりますが、
▼アルゴリズムが認識するLiquidityは、swing high/swing lowと、
▼応用的な意味で、swing high/swing lowのヒゲの根っこ、これだけです。
Liquidity まとめ
重要なところをまとめ。
- アルゴリズムは、Liquidityを追い求める
= Liquidityは磁石のように価格を引き寄せる - Liquidityを取った後の反応に注目
→ 一般トレーダーの裏をかいて反転するかも? - Equal High/Lowは単一Liquidityより強い吸引力がある
→ shallow runの感覚も併せて養いたい - 前日・前週・前月の高値/安値は要注目のLiquidity
ちなみに:
ICTは「初学者は、Equal High/Lowを見つけてそこへ引き寄せられていく様子を観察し続けると、Bias(価格が向かう方向性)の感覚を掴みやすい」と言っています。
個人的にも、shallow run(浅すぎるsweepはもう一度アタックされがち)も併せて、Equal High/Lowを過去データで探してみるのは良い勉強になると考えています。
・・・
▼SMC解説記事
ICT フェアバリューギャップ/Fair Value Gapの基礎
▼疑わしい高額商材に注意
▼最後に
もし本記事を「良いね!」と思っていただけたなら、SNS等で本記事や以下ポストをシェアしていただけると喜びますm(_ _)m
スマートマネーコンセプト初学者さん向け「Liquidityの基礎」
記事を更新しました💡主な更新内容:
・Shallow Run
・Institutional Liquidity
・よくある間違ったLiquidity🔽SMCにおけるLiquidityの基礎https://t.co/agZvEnHL0h
— Yuki📈|ICT SMC Trader (@YUK1_WORLD) July 13, 2024