ICT フェアバリューギャップ/Fair Value Gapの基礎

- ICT SMC -
2024.11.20
フェアバリューギャップ fair value gap FVG

SMCの根幹概念とも言える、超・重要概念「ICT Fair Value Gap(FVG)」の基礎について解説します。

FVGとは、視覚的には以下の黄色枠部分のことです。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

 

FVGは「価格を引き寄せる性質」がある

▼理由

アルゴリズムの原則:
アルゴリズムは「価格の不均衡」を「均衡」するようプログラムされているから
(簡単に書けば、FVGを埋めるようにプログラムされているから)

▼活用方法

  • エントリー
  • 利確
  • 価格の方向予測(=Bias/バイアス)

「FVGがなければSMCは成り立たない」と言っても過言ではないほど分析の根幹を成す基礎的かつ重要な概念。

FVGはとても奥深く、1記事では学習した内容を到底書ききれないのですが、SMC初学者さんがFVGの有用性を少しでも理解してもらえるキッカケになればと思います。

ちなみに:

最初は「FVG、よく分からないな...」と思っても、根気よくFVGを観察し続けることで、

FVG...ひょっとしてスゴすぎるのでは?今まで知らなかったとかありえなくね?

という感動に似た実感が湧いてくる時がきます。

それくらい重要な概念なので、ぜひ記事を読んでは過去チャートで確かめてみる...を繰り返してみてください。

本記事内容は、情報の信頼性を担保するため、SMC考案者であるICTがYouTubeで公開している初学者向け動画「ICT Mentorship 2022」内で解説されている事に基づいています。

参考ICT Mentorship 2022 動画プレイリスト >>

スマートマネーコンセプト学習方法・おすすめ教材

スマホではチャート画像が見にくいため、PCからアクセス・閲覧を推奨

ICT フェアバリューギャップ/Fair Value Gapの定義

FVGは、以下2種類。

  1. Bullish FVG
  2. Bearish FVG

FVGは「チャートを見た時、無意識レベルでパッと視認できるようになる」ことが最初の一歩

「FVGはHidden Gap(ヒドゥンギャップ)とも呼ばれる」などネット上で書かれることがありますが、ICTがHidden Gapと呼称したことはありません。

ICT以外の第三者が勝手に別名をつけただけなのでご注意。

1. Bullish Fair Value Gap

  • 3本の連続したローソク足を見て、
  • 「1本目の高値」と「3本目の安値」が重なり合わない時、
  • その間のギャップがBullish FVGとなる
    → 必然的に、2本目は陽線になる

FVGは文章で覚えるより、視覚的に覚えた方がずっと早いです。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼この場合は、以下白線で引いた間の部分も条件を満たすのでBullish FVGになります。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

2. Bearish Fair Value Gap

  • 3本の連続したローソク足を見て、
  • 「1本目の安値」と「3本目の高値」が重なり合わない時、
  • その間にできたギャップがBearish FVGとなる
    → 必然的に、2本目は陰線になる

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

3本のローソク足の色の組合せは関係ない

上記例では、たまたまBullish FVG=3本連続陽線・Bearish FVG=3本連続陰線でしたが、同じ色のローソク足が3本並んでいる必要なし。

陽線・陰線の組合せを気にする必要はありません。

▼真ん中が陽線ならBullish FVG

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼真ん中が陰線ならBearish FVG

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

という程度で覚えておけば問題ないでしょう。

慣れてくれば、これはBullish?Bearish?などと考えるまでもなく無意識で判別できるようになってきます。

ローソク足3本のヒゲとヒゲの間に空間があれば、それがFVGです。

Fair Value Gap 視認トレーニング

全てのFVGを見つけてみてください。

フェアバリューギャップ/fair value gap/FVG

//////////// 回答はこの下 ///////

////////////////////////////

////////////////////////

////////////////////

////////////////

////////////

////////

////

▼正解

Bullish FVGがひとつ、Bearish FVGは3つありました。

smc fvg fair value gap フェアバリューギャップ

▼後の章で詳しく書くことですが、よく見るとBullish FVGがサポート、Bearish FVGがレジスタンスの役割を果たしていることが分かります(右真ん中のBearish FVGは埋められず残ったまま)。

smc fvg fair value gap フェアバリューギャップ

・・・

▼「FVGの描画」について、よくある質問に答えました

Fair Value Gapの性質

ここから少し難しくなります。

ですが「そもそもなぜ価格は動くのか」という本質に迫るとても重要な部分なので繰り返し読んでみてください。

FVGは「価格を引き寄せる性質」がある

▼理由

アルゴリズムの原則:
アルゴリズムは「価格の不均衡」を「均衡」するようプログラムされている
から
(簡単に言えば、FVGを埋めるようにプログラムされているから)

FVGは価格を引き寄せる

FVGが生成されると、アルゴリズムはそのFVGを埋めるために価格を操作します。

▼埋めに上がる→下落、埋めに上がる→下落...

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼埋めに下がる→上昇、埋めに下がる→上昇...

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

価格を引き寄せる理由・仕組み

アルゴリズムの原則:
アルゴリズムは「価格の不均衡」を「均衡」するようプログラムされている
から
(簡単に言えば、FVGを埋めるようにプログラムされているから)

「FVGとは何なのか」をもう少し細かく説明すると、

FVGとは、

ローソク足がsell sideかbuy sideどちらか一方のみに偏った不均衡な状態のこと

を指します。

...と言葉で説明すると分かりづらいので、FVGが生じるローソク足を拡大して見てみます。

▼以下、Bullish FVGの黄色枠部分はbuy sideのみ提供され、sell sideが提供されていないため、不均衡状態です(ICTは不均衡を"imbalance/インバランス"と呼ぶ)。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼以下、Bearish FVGの黄色枠部分はsell sideのみ提供され、buy sideが提供されていないため、不均衡状態です。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

アルゴリズムは、

  • 一方向にのみ売買が提供された状態を示すFVGを「不均衡状態」と見なし、
  • その不均衡状態を、反対売買を提供することで均衡状態にする
  • 均衡状態にした後に、本来動くべき方向へと動き出す

ようにプログラムされている

...ので、結果的に「FVGを埋めに来ているように見える」ということになります。

▼Bullishパターン

アルゴリズムが不均衡を均衡しに下落→結果的にサポートとして機能し上昇。

smc fair value gap

▼Bearishパターン

アルゴリズムが不均衡を均衡しに上昇→結果的にレジスタンスとして機能して下落。

smc fair value gap

▲アルゴリズムの不均衡を均衡するという原則が分かりやすいように「ターゲットへ向けて下落する前に全てのBearish FVGを埋めに行く」という例を挙げました。

FVGを知ったばかりだと、

いや、こんなの偶然でしょ?

たまたま都合の良いところを切り取っただけだからそう見えるんでしょ?

と思うかもしれません。

地道にFVGの観察を続ければ、不均衡の均衡化が「アルゴリズムの本能的な動き」であり、幾度となく似たような動きが高精度で繰り返されていることに気づくと思います。

一度に全て埋めるとは限らない

「FVGは埋められる」とはいえ、当然のことながら"絶対"はありません。

▼ほんのわずか埋めたのみで反転するパターン

これは、一方的な強いトレンド中で深いリトレースメントが望めない時に発生しやすい。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼少し埋めた後、埋め残し部分を再度埋めにくるパターン(まだ埋め残しあり)

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼FVG全部埋め→(複数回)突き抜けるパターンもあり(それでも結果的にサポートとして機能している)。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

また、当然のことながら「何年も埋めに来ないまま残ったFVG」もあります。

・・・

「どのような時にどのように埋められるか」はこれから実際にチャート上で経験を積んでいくしかありません。

FVGの性質を利用した活用方法

  1. エントリー
  2. 利確
  3. 価格の方向予測(=Bias)

エントリー

この章は、エントリーで使えるイメージをつかむ目的でシンプルに図示しています。

FVGを見つけて手当たり次第にエントリーするわけにもいかないので、「具体的にどんなFVGがサポレジとして効きやすいのか」については、後の章「効きやすいFair Value Gapとは」で書いています。

ここでは、FVG単体で確かにサポレジとして機能している様子を読み取れればOK。

▼Bullish FVG = ロング

  • Bullish FVGは、埋めた後に上昇=サポートとして期待できる

精度の高さにも要注目💡

フェアバリューギャップ/fair value gap/FVG

フェアバリューギャップ/fair value gap/FVG

フェアバリューギャップ/fair value gap/FVG

フェアバリューギャップ/fair value gap/FVG

▼Bearish FVG = ショート

  • Bearish FVGは、埋めた後に下落=レジスタンスとして期待できる

フェアバリューギャップ/fair value gap/FVG

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

利確

「価格を引き寄せる性質がある」ということは、エントリーだけでなく、エントリー後の利確ターゲットの一つとしても考えられます。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

価格の方向予測(=Bias)

Bias/バイアスとは、カンタンに書くと「価格が向かう方向性」のこと。

「FVGは価格を引き寄せる」という性質を上手く分析に組み込むことで「次に価格が上昇しに行くのか下落しに行くのか」が推測しやすくなります。

smc fair value gap

価格が上がるか下がるかの予測可能性を上げることができたらトレードが有利になることは自明。

つまり、FVGでもっとも重要な活用方法のうちの1つと言っても過言ではないので、

「FVG=価格の方向予測に使える」

ということはかならず覚えておいてください。

・・・

このトピックはとてもボリュームが大きく初見では少し難しいため、続きは本記事の"最後の章"で具体的に書いています。

このまま順番に先へ読み進めていき、記事の最後でBiasについて詳しく読んでください。

ドル円日足を例に、ここまでのおさらい

160円に到達後、為替介入もあり2024年5月3日に151円台まで一気に下落しました。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

ここで、

なぜ151.8円で下げ止まったのか?を上図から考えてみてください。

ヒントは、これまで書いてきた以下3点です。

  • FVGは価格を引き寄せる
  • 価格を引き寄せる理由は、アルゴリズムがFVGを不均衡状態とみなし、均衡状態にするようにプログラムされているから
  • 結果的に、FVGはサポート/レジスタンスとして機能する

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・

・・・・

・・

▼正解です、日足のFVGがあるからですね(週足を見ると、週足FVGにもなっています)。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

このFVGは、buy sideしか提供されていない不均衡な状態でした。

そのため、sell sideを提供して均衡状態とするために降りてきた、というわけです。

わずか8pipsの誤差のみの精度で、FVGを埋めた後に急反転しています。

これは偶然ではなく「アルゴリズムがそういうふうにプログラムされていて、その通りに動いているだけ」ということ。

「FVGには価格を引き寄せる性質がある」と理解していたら、為替介入の勢いに乗ってFVGをターゲットに大きな値幅でショートを狙えた

「FVGには埋めた後サポートになる性質がある」と理解していたら、ここがサポートになる可能性を事前に予測しロングをする大きなチャンスになり得た

...という「FVGを理解することのメリット」が想像できるかと思います。

▼ちなみに

その後の上昇→下落時も、Bullish FVGを埋めた後に反転上昇しています。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼ここは、Bullish FVGだけでなくBullish Order Block(OB)も重なっているため、FVG単体よりも強固なサポートになっています。
(Order Blockは別の記事で書く予定なので詳しくは省略)

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

「FVGが他の要素と重なる」というのが、次の章で書く「効きやすいFVG」のポイントになってきます。

効きやすいFair Value Gapとは

FVGは、見つけようと思えばそこら中に存在します。

「どんな場合にどのFVGが効きやすいのか?」ということについて。

【大前提】Biasが合っていること

▼Biasとは

価格が向かう方向性のこと。

価格が上昇する可能性が高い状況=BiasはBullish

価格が下落する可能性が高い状況=BiasはBearish

  • BiasがBullish = Bullish FVGが効き、Bearish FVGは効きにくい
  • BiasがBearish = Bearish FVGが効き、Bullish FVGは効きにくい

つまり、自分が狙ったFVGが効かない=価格の方向性(Bias)を読み間違えていることを示すサインのひとつ

私が引いたFVG、全く効かないんだけど!?

というのがFVGが分かり始めた時によくある問題。

FVGが効くか効かないかはその時間足における「Bias」の認識が合っているかどうかによります。

つい前の章で書いたことですが、もう一度確認します。

▼話を単純化するため、極端に一方的に上昇している状況(BiasがBullish)があるとします。
(もう少し具体的に書くと、Buy sideにあるLiquidityかFVGを目指している状況)

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼BiasがBullishの時は、Bearish FVGがレジスタンスとして効く可能性は低くなります。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼BiasがBullishなので、Bullish FVGがサポートとして効きやすくなります。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

つまり、狙ったFVGでエントリーして損切りとなってしまった場合は、

  • 本当はBullishなのに「Bearishだ」と読み間違いをしている
  • 本当はBearishなのに「Bullishだ」と読み間違いをしている

かもしれない...と冷静に考え直すきっかけとするのが良いでしょう。

グングン上昇中にも関わらず、そろそろ下がるだろうという自分の願望をマーケットに押し付けてひたすらBearish FVGでショートをし続けてしまう...

というのは「あるある」です。

FVGが効かないということは「あなたのBias認識、間違っているかもよ?」とマーケット側からヒントをささやいてくれていることになります。

そうなったら一度冷静になってエントリーボタンから離れましょう。

Premium/Discount + Liquidity が重なるFVG

典型的にFVGが効きやすくなる例は、以下の要素がFVGと重なる場合です。

  • Premium/Discount
  • Liquidity

Premium/Discountとは

フィボナッチ・リトレースメント(fib)0.5をswing low → swing highで引き、

  • 0.5より上がPremium=高すぎゾーン=アルゴリズムはショートを積む
  • 0.5より下がDiscount=安すぎゾーン=アルゴリズムがロングを積む

というSMCにおける考え方のこと。

▼関連記事

ICT Premium/Discountの基礎

1つよりも2つ・2つよりも3つとより多くの要素がFVGと重なることで、そのFVGの信頼性が高まります。

▼Bullishパターン

「BiasがBullishという前提」で、以下を満たすFVGがある場合にロングが成功しやすい。

  • fib 0.5をレンジで引き、0.5より下にあるDiscount FVG
  • Liquidityを取ると同時に埋められるFVG

fair value gap フェアバリューギャップ

▼同じパターンの別例
Discountに入る→Liquidityを取る→Bullish FVGで反転、という流れを要チェック。

smc fvg fair value gap フェアバリューギャップ

▼同じパターンの別例

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

上記の場合はFVGを下に突き抜けていますが、ローソク足の実体はFVGの下辺ぴったりでクローズしている点に注目。

▼同じパターンの別例

▼ちなみに、1つ上の「おさらい」章で解説したドル円日足の例をみても、FVGにDiscountとLiquidityが重なっていることに注目。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼過去Xポストも参考に見てみてください

▼Bearishパターン

「BIasがBearishという前提」で、以下を満たすFVGがある場合にショートが成功しやすい。

  • fib 0.5をレンジで引き、0.5より上にあるpremium FVG
  • Liquidityを取ると同時に埋められるFVG

fair value gap フェアバリューギャップ

▼同じパターンの別例

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼同じパターンの別例

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼同じパターンの別例

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

ちなみに、以下⬆︎と同じチャートでさらに1つ上にFVGがありますが、このようにショートエントリーを「高望み」しすぎると逃す場合があります。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼過去Xポストも参考に見てみてください

【参考】No FVG, No Tradeの原則

本記事冒頭で紹介した、SMC初学者向けのICTの動画「ICT Mentorship 2022」では、

No FVG, No Trade
→ 必ずFVGでエントリーしろ、もしFVGがないならエントリーをするな

という原則を守るよう指導しています。

それほど、FVGはロング/ショートする際の重要な根拠として考えられています。

最後に:FVGを価格の方向予測(=Biasの把握)に活用する

「Bias/バイアス」はSMCにおいてとても重要な概念ですが、これから書く内容は話の抽象度が上がるため難しくなります。

また、ここから先は「Liquidity」、「Premium/Discount」といったFVG以外のSMC基礎概念が解説なしで登場します。

もしLiquidity・Premium/Discountが分からない場合は、別記事で解説しているので適宜以下リンクも併せて読んでください。

▼SMC関連記事

SMCにおけるLiquidityの基礎

ICT Premium/Discountの基礎

FVGは他概念と組み合わせて分析に取り入れることが大前提なので、どうしてもこれら用語をFVG解説に組み込まざるを得ませんでした。

▼Biasとは

SMC特有の概念で、

周辺に存在する/したLiquidity・FVGの状況(つまりアルゴリズムの意図)から合理的に導かれる「価格の向かう方向性」のこと。

  • BiasがBullish:上昇する可能性が高い状況
  • BiasがBearish:下落する可能性が高い状況

「合理的に導かれる方向性」というのが重要。

「ただなんとなく、上に行きそうな気がする」ではダメということ。

つまり「あなたは何を根拠にBias=Bullishと想定しているのですか?」と聞かれたら、その予想が合っているかどうかはさて置き、アルゴリズム的な観点から「過去こういう動きで、現在こうだから将来こっちに上がり/下がりそう」と他人に説明できる必要があるということです。

※日本語訳では「偏見」というネガティブな意味だが、SMC概念上ネガティブな意味は全くないためBiasは訳さずそのままBiasと呼称する

▼なぜLiquidityとFVGか

価格が動く原理は↓この2つしかないから

  • アルゴリズムはLiquidityを追い求めて価格を動かす
  • アルゴリズムはFVGを埋めに(不均衡を均衡しに)行く

▼FVGはBiasの把握に使える

アルゴリズムがFVGを埋めに行くようにプログラムされている

...という性質・原則があるならば、

ここにFVGがあるから、この後はそのFVGへ向かっていく可能性が高いのでは?

そのFVGのある方向へエントリーすれば成功しやすいのでは?

というふうに、FVGは価格予測の強い根拠になる

Biasを文章で説明しようとするとなかなか難しいので、

「BiasがBullish/Bearishになる状況」をチャートで可能な限り具体的に解説してみます。

▼日足チャートでBullish Biasを考える

▼以下チャート図は「日足」と思って見てください(何のチャートかは無関係)。

smc fair value gap FVG

1:重要なSell side Liquidityを取る

2:日足FVGが生成される

3:Sell sideの重要なLiquidityを取ったため、次はBuy sideのFVGを埋めにいく可能性が高いのでは?と予測する
=この時点で、Bias=Bullish

4〜5:例:ターゲットをPremium FVGに設定し、Biasに従いロング

以下、分解して具体的に何が起きているかを考えながら見ていきます。

▼ひと月以上前にできた重要なSell side Liquidityを取った時、「サポートを割った!」と思った一般トレーダーのブレイク狙いショートが大量に入ってきます。

smc fair value gap FVG

▼翌日、pdLow(前日安値)を更新し「勢い止まらん!下降継続だ!」とさらに大量のショートが入ります。

smc fair value gap FVG

▼ところが結局、この日は大きく戻して陽線でクローズしました。ショートが苦しそうです。

smc fair value gap FVG

▼一方、アルゴリズム目線で見るとここは「ロングを積みまくっているところ」。

smc fair value gap FVG

なぜここ↑でアルゴリズムはロングを積むのか?については、以下Liquidityの記事で解説しています

アルゴリズムは、一般人の売りで買い、買いで売る【ストップ狩り】

▼ここまで見てきた日足の状況をいったん整理します。

  • 無知な大量ショートが流入し、ショート勢は明らかに苦しい
  • Buy sideには不均衡な状態のまま残されたFVGが生成されている

▼ここで、アルゴリズムの原則は何だったかというと、

  • アルゴリズムは、一般トレーダーの売りで買う
    (無知なショートの損を確定させる)
  • アルゴリズムは、FVGを埋めに行く

では、

Q.
このLiquidity & FVGの状況 + アルゴリズムの原則を踏まえ、翌日以降に向かう方向は?

A.
上の可能性が高い。

よって、翌日以降のBias=Bullishと考え、ロングプランを考えた方が成功しやすい

(▼つまりこの3〜5部分)

smc fair value gap FVG

...というふうに考える妥当性がある(だってアルゴリズムってそういうものだよね)という感覚が分かってくると、

FVGの本質的な理解が深まってきます。

SMC初学の段階では、FVGは「どのFVGでロングする?それともショート?ちゃんと効くかな?」という単なるエントリーツールの1つくらいにしか見えないかもしれませんが、

FVGの真髄は「価格を引き寄せる=次に向かう先(Bias)が分かる(可能性を理論的に上げてくれる)」というところにあるのです。

「これ、短期足だと具体的にどこでエントリーするの?」という気持ちは分かります。

が、ここで強調したいのは「Biasが読めさえすればあとはどうとでもできる」気がしてきませんか?ということ。

真っ先に「どこでエントリーしよう?」と考えるのは、木を見て森を見ず状態。

それまでに起こった(例:重要なLiquidityを取った)ことを基準に近接するFVGを確認して、価格がどこへ向かう可能性が高いのか。

まずは、これを常に考えるクセをつけると良いです(とICTが言っています)。

▼ドル円で具体例

ドル円で、ここまで見たような「FVGを根拠にBiasを確定させる」例を上げることができます。

▼月足で、162円から139円台に暴落し、矢印部分で月足レベルのSell side Liquidityを取ったところ。

smc fair value gap

▲前の例で挙げた「重要なSell side Liquidity」を取った状況と同じと考えてください。

▼日足で拡大しました。
ここは「ブレイク狙いで入った大量のショーターが含み損を抱えた状態」です。

smc fair value gap

▼その状況を踏まえたうえで、Buy sideを見ると日足のFVGがあります。

smc fair value gap

▼ということは「翌日は、安値を割りに行くより最低限FVGを埋めに上昇する可能性の方が高いのでは?」と考える妥当性があります。

smc fair value gap

Sell sideは「月足Liquidityを取る」という大きな仕事を果たした後なので、上昇することでBuy sideに残されたFVGが埋まり、かつブレイク狙いのショーター達がどんどん苦しくなるからです。

つまり、これが「翌日のBiasはBullish」ということであり、翌日はロングを検討する根拠となります

▼翌日、FVGを完全に埋めました。

smc fair value gap

この陽線を見るに、さすがに月足レベルのLiquidityを取っただけあって反発力は強そうです。

▼さらに上を見ると、Buy side LiquidityとFVGがあるため「Liquidityを取り、FVGを埋めに行くのでは?」と考える妥当性が出てきます。

smc fair value gap

▼結果、139.5円の安値を割る事なく、Buy sideにあるFVGをターゲットに上がっていきました。

smc fair value gap

「重要なSell side Liquidityを取った後の状況を考慮すると、

▼理想論ではここからここまでの値幅でロングを狙えた、ということになります。

smc fair value gap

▲逆に言えば、Premium FVGまで上がり切ってしまうとアルゴリズムはショートを積み始めるため、BiasはもはやBullishとは言えなくなり、ロングはリスクが高い状況と考えられます。

▼Bearish Biasの例

▼このBuy side Liquidityを取った直後のチャートを見て、「アルゴリズムは具体的にどこをターゲットにして下落する」と考えますか?

smc fair value gap FVG

▲これを見て無意識・脊髄反射的にパッと「ここが怪しいな?」と目が動くようになると良いですね。

順番に考えてみます。

▼まず、Buy side Liquidityを取りに行くまでに「swing lowが1度も取られていない」という点に注目します。

smc fair value gap FVG

▲つまり、一般トレーダーのロングが全員利益が出ている状況です。

▼さらに、Sell side Liquidity直下にぽっかりと空いたままのFVGがあります。

smc fair value gap FVG

▼Premium/Discountを引いてみると、FVGはDiscountにあります。
(アルゴリズムは高値で積んだショートを安く買い戻して利益を得たいのでDiscountを探す)

smc fair value gap FVG

▼つまり「最低限、Liquidityを取りつつDiscount FVGをターゲットに下落していくのでは?」と考える妥当性がある=BiasがBearishである、ということが分かります。

smc fair value gap FVG

▼あとは、そのBiasに従いDiscount FVGへ到達するまでの間にショートを検討する、ということになります。

smc fair value gap FVG

これが、「この(Liquidityと)FVGがあるから、次はここへ向かって動いていくのでは?」というBiasをとらえる根拠として使う、という実例でした。

Sell side Liquidityを取ったから、次はBuy sideにあるFVGへ向かって反転するのでは?

Buy side Liquidityを取ったから、次はSell sideにあるFVGへ向かって反転するのでは?

といった予測を立てる根拠になる、というイメージがついたでしょうか。

逆に考えると、

「価格が勢いよく一方向に動いてるけど、なんでだ?」

と自分自身に問うたとき、

「もしかして(上位足の)FVGがあってアルゴリズムがそこへ寄せてる?(見逃してる?)」

が答えになるかもしれません。

上位足ほど影響力が大きいので、月足〜日足レベルのFVGは必ずチェックしておくと良いでしょう。

うーん、難しいな...

と思った方は正解です。

挙げた例だけ見ると分かりやすいな

と思っていただいた方も、刻一刻と変化する実際のリアルタイムチャートでBiasを把握し、その(本当に合っているのか分からない)Biasに従ってエントリーするのはとても難しく、SMCトレーダーの"永遠の課題"と言えます。

▼ICTは、以下のように言っています。

「価格が動く方向(Bias)さえ読めればエントリーはとても簡単だが、それを読めるようになるのがとても難しい。Biasは、長年の経験と経験からくる直感が重要。他人から伝授してもらえるスキルではない。一朝一夕で簡単に身につくスキルでもない。毎日繰り返し「どこへ引き寄せられているのか?」を考え続けることで少しずつ分かってくる」

▼また、ICTはこうも言っています。

「Biasには3種類ある。「Bullish」「Bearish」「分からない」だ。30年以上トレードしている俺でもBiasが分からない時はいくらでもある。だから分からないのは悪いことではない。」

「分からないときは分かるまで待て。待てないならお前がやってるのはトレードじゃない、ギャンブルだ」

・・・

つまり、SMC初学者さんがいきなりBiasを適切に判断するのは無理ゲー難易度なので、

まずは、例で解説したような過去チャートから「そうか、アルゴリズムはこういう時はこのLiquidity/FVGに寄せていくのか」と後付け解釈をする練習を積むと良いです。

▼参考過去ポスト

Fair Value Gap まとめ

「FVGは価格を引き寄せる」という特性から、

エントリーポイントになったり、
利確ポイントになったり、
「このFVGに引き寄せられているのではないか?」という価格の向かう方向性の分析根拠になったりと、

多様な役割を果たします。

SMCにおいて最も重要な概念といっても過言ではないです。

なので、まずはとにかく「FVGをすぐに視認できるようになること」が第一歩。

これはFVG? FVGではない?

...と迷うことがなくなるまで、「視認できるようになることだけ」を目指してチャートでFVGを引きまくってみてください。

狙ったFVGが効く効かないは、正確に視認できるようになってからの話です。

▼そして、最終的には「FVGに絶対的な信頼感を置けるようになる」と良いですね。

▼最後に

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▼SMC関連記事

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