ICT Immediate Rebalanceを解説

- ICT SMC -
2024.11.20
smc immediate rebalance

はじめに:

Q.
LiquidityFair Value GapPremium/DiscountOrder Blockの解説記事はすでに読んだ?

この質問に「はい」と答えた人だけ読み進めてください。

上記4概念は、Immediate Rebalanceよりも覚えるべき優先度が遥かに高いためです。

▼参考

SMC解説記事の"読むべき順番"について

SMCの概念「Immediate Rebalance/イミーディエト リバランス」の基礎を解説します。

Immediate Rebalanceは、

  • アルゴリズムがFVG生成を待たずに「即、不均衡を均衡しにくる」こと
  • 月/週/日足レベルのImmediate Rebalanceは、"強力な"サポレジになり得る
  • 「どういう状況で発生したか」をよく考える
  • 上位足レベルの見逃しは痛いのでチェックを忘れない

視覚的に覚えるのはカンタンで、覚える見返りが大きい概念。

「そんな概念は聞いたことがない」という方は、今後実チャート上でImmediate Rebalanceの発生を見た瞬間、「これはスゴい」という新鮮な驚きを体験することになるはずです。

本記事内容は、情報の信頼性を担保するため、SMC考案者であるICTがYouTubeで公開している以下動画内で解説されている事に基づいています。

▼参考動画

ICT Mentorship 2022:Episode25 >>

ICT Mentorship 2023 Immediate Rebalance & Institutional Order Flow >>

ICT Forex Price Action Lesson: Orderflow & Volume Imbalances >>

How To Read Price With Or Without A Bias - April 29, 2024 >>

※ Immediate Rebalanceの解説が始まる途中から再生が始まります

本記事は、FVGの基礎知識を前提とします。

▼関連記事

ICT フェアバリューギャップ/Fair Value Gapの基礎

また、スマホではチャート画像が見にくいため、PCからアクセス・閲覧を推奨

Immediate Rebalance 視覚的定義

Immediate Rebalanceは、「連続する3本のローソク足の見た目」で覚えます。

▼Bullishパターン

1本目ローソク足の高値より上で、2本目ローソク足がクローズ

このとき、1本目ローソク足の高値がImmediate Rebalanceのライン

3本目ローソク足のサポートになる

smc immediate rebalance

smc immediate rebalance

▼Bearishパターン

1本目ローソク足の安値より下で、2本目ローソク足がクローズ

このとき、1本目ローソク足の安値がImmediate Rebalanceのライン

3本目ローソク足のレジスタンスになる

smc immediate rebalance

Immediate Rebalance 意味的定義

見た目で覚えたら、本質的な意味を覚えます。

FVGの解説記事で書いた「FVGが価格を引き寄せる仕組み↓」を思い出そう

アルゴリズムの原則:
アルゴリズムは「価格の不均衡」を「均衡」するようプログラムされている

Immediate Rebalanceは、

直前の足に生じた不均衡を"即座に"均衡しようとするアルゴリズムの働き

※「即座に均衡」するので「Immediate Rebalance」という

immediate rebalanceが効く仕組みは、FVGが効く理由と全く同じです。

▼Bullishパターン

▼アルゴリズムは、buyのみ一方的に提供された不均衡を嫌い、均衡状態を目指します。

smc immediate rebalance

▼3本目ローソク足がオープン後、アルゴリズムはsellを提供することで「不均衡を均衡する」という目的を果たしたため、それ以上に降りていく理由はなく、上昇を継続。

smc immediate rebalance

これが、「結果的に」Immediate Rebalanceのラインがサポートとして機能する理由。

▼Bearishパターン

▼アルゴリズムは、sellのみ一方的に提供された不均衡を嫌い、均衡状態を目指します。

smc immediate rebalance

▼3本目ローソク足がオープン後、アルゴリズムはbuyを提供することで「不均衡を均衡する」という目的を果たしたため、それ以上に上昇する理由はなく、下降を継続。

smc immediate rebalance

これが、「結果的に」Immediate Rebalanceのラインがレジスタンスとして機能する理由。

"即"均衡されなかった不均衡がFVGになる

以下、3本目のローソク足がオープン後、1本目の高値へ降りずにクローズしたのでImmediate Rebalanceは発生せず、その代わりFVGが生成されました。

smc immediate rebalance

ここまで見れば、

FVGとImmediate Rebalanceはどちらも「アルゴリズムによって"遅かれ早かれ均衡されるモノ"という本質は同じ」

ということが分かるのではないでしょうか。

Immediate Rebalance 活用のコツ

Immediate Rebalanceを分析に落とし込むために、以下4点を把握しておくと良い。

  1. 月〜日足のImmediate Rebalanceを要チェック
  2. Rebalance発生前後の文脈を考慮する
  3. 見逃しは痛い
  4. 下位足になるほど難しい

月〜日足のImmediate Rebalanceを要チェック

上位足のImmediate Rebalanceは、下位足で「高精度」かつ「強烈な反発」を見せる可能性あり

ICTは以下動画で「Immediate Rebalanceの強力さ」について日足を例に解説しています。

(日足Immediate Rebalanceが発生している部分を見せながら)
Immediate Rebalance is one of the strongest algorithmic price delivery signature you're gonna see.

 

訳:Immediate Rebalanceは、アルゴリズムが強烈に価格を動かすことを示す痕跡の一つだ

▼参考動画

ICT Mentorship 2023 - Immediate Rebalance & Institutional Order Flow >>

上位足Immediate Rebalanceの威力を知ることで、きっと「今まで全く見えなかった強力なサポート/レジスタンスが見えるようになった」という感覚が生まれるはず。

以下、過去実際に起きたチャートを例に確認していきます。

▼月足の例

ドル円が為替介入で151円台まで下落したのち、161.95円まで暴騰するキッカケになったのが、矢印部分の月足Immediate Rebalanceでした。

smc immediate rebalance

▼日足で拡大
為替介入により一見このまま大暴落となるかのような勢いでしたが、これは暴落ではなくアルゴリズム的には「ただ月足の前月の不均衡をならしにきただけ」で、直後から勢いよく上昇を開始。

smc immediate rebalance

▼5分足で拡大
誤差わずかに8.6pipsの精度で直後から急反転し、161.95円に到達するまで1度たりとも戻ってくることはなかった。

smc immediate rebalance

この部分は実際にご自分のチャートで見てみると、月足Immediate Rebalanceの威力が実感できるはずです。

▼月足 別の例

▼週足の例

ゴールド週足。
2024/09/16週の高値に、2024/09/30週にタッチ。

smc immediate rebalance

▼5分足で拡大
週足Immediate Rebalanceのラインにヒゲ先でタッチした直後から強烈な反発。

smc immediate rebalance

▼日足の例

ドル円日足、2024/05/02の足に注目。Bearishの例です。

smc immediate rebalance

▼1時間足で拡大

smc immediate rebalance

日足は毎日更新されるので、こんなこと↓もあります。

ぜひご自分のトレードするアセットの過去チャートを見返して、上位足Immediate Rebalanceが下位足でどんな反応をしたかチェックしてみると良いかと。

▼ICTによるエントリー例解説

SMC初学者向けのYouTube動画「ICT Mentorship 2022」では、

以下のように「日足」のImmediate Rebalanceを分析に取り入れ、下位足でエントリーするまでの具体的方法が解説がされています。

▼ICT Mentorship 2022:Episode 25 >>

Bias=Bearishの時に、

  • 日足Immediate Rebalance(Bearish)を引いておくsmc immediate rebalance
  • 2分足でそのラインタッチ後に大きく反応(MSがBearishにシフト)
  • Bias通りに反応したので、Premium FVGでショート
    smc immediate rebalance

Rebalance発生前後の文脈を考慮する

もはや書くまでもないことですが、

「どういう状況で、他のどんな要素と重なってImmediate Rebalanceが発生したのか」

を考えるのが重要です。

▼具体例

アルゴリズムの意図が分かりやすい例を使って説明します。

ドル円日足、2024/07/02に発生したBullishパターンの日足Immediate Rebalance。
歴史的161.95円まで最後のひと上げのキッカケとなったところ。

smc immediate rebalance

▼1時間足で拡大するとこう。

smc immediate rebalance

▼15分足で拡大するとこうです。

smc immediate rebalance

この15分足で、具体的にどういう状況で日足Immediate Rebalanceが起きたかを見ていきます。

▼まず最初に、ここはShallow Runが起きていて、Equal Highと同等=のちに再度アタックされやすいと考えられる。

smc immediate rebalance

Equal High・Shallow Runの性質については以下記事を参照

▼参考記事

SMCにおけるLiquidityの基礎:Equal High, Equal Low

▼一般トレーダーは、Equal Lowをサポートと捉えて「サポートを割った」とばかりにブレイク狙いでショートに入ってくる。

smc immediate rebalance

▼一方、アルゴリズムの原則からチャートを見るとこう解釈できます。

smc immediate rebalance

日足のImmediate Rebalanceだけに注目して「日足ローソク足の不均衡を均衡した」というだけでなく、

Premium/Discountを引いてLiquidity(Equal Low)も分析に組み込むことで「不均衡を均衡しつつ、一般トレーダーの大量ショートをDiscountで買い上げている」

...という解釈ができることが分かるかと思います。

▼日足Immediate Rebalance完了直後に大きく反応し、再度Discountでロングを積んでEqual Highをアタック。

smc immediate rebalance

▼つまりこの時点で、以下1・2・3から、さらにLowを取りに行く可能性よりEqual Highへ向かう可能性の方が高いのではないか?と考えられる状況でした。

smc immediate rebalance

以上、「Rebalance発生前後の文脈を考慮する」の1例目でした。

▼別の具体例

ゴールド、2024/09月に発生した月足Immediate Rebalance。

smc immediate rebalance

▼4時間足だとこの部分。

smc immediate rebalance

▼注意してほしいのは、この矢印Lowは月足Immediate Rebalanceとは無関係です。
(3本の足で構成という定義を思い出すこと。矢印Lowは月足でまだ2本目)

smc immediate rebalance

▼1時間足で拡大
これをもとに、月足Immediate Rebalance前後の文脈を考えます。

smc immediate rebalance

▼まず、月足Immediate Rebalanceのラインを認識していない前提で見てみます。

smc immediate rebalance

▼状況を整理すると、Equal Highあり、Equal Lowあり、現在レンジの真ん中にいてどちらを狙いに行くのか、判断が難しい場面。

smc immediate rebalance

▼もしくは「ゴールドは基本的にBullish。一度下降してEqual Lowを取りロングを狩ってから上昇をするのでは?」と考え、Equal Lowを取るのを待ちたくなる場面でもあります。

smc immediate rebalance

▲つまり、この場面は

  • Equal High・Equal Lowが存在し、現在地はレンジの真ん中
  • ロングをするにしても、Equal Lowを取るのを待ちたくなる
  • 現在地からはロングもショートも検討しにくい

という状況です。

▼では、ここで月足Immediate Rebalanceを認識している場合はどう見えるか。

smc immediate rebalance

▼ここで月足Immediate Rebalanceが完了しています。

smc immediate rebalance

▲つまり、

  • 月が明けて、前月足に発生している不均衡をならすことを目的に下落してきた
  • 上位足での「下落の目的」が達成された状態

※ 下位足は上位足に支配されるという点に留意すること

という状態です。

月足レベルでは「下落の目的は達成済み」と仮定して1時間足を見ると、現在地はDiscountでありロングを検討するチャンスに見えます。

smc immediate rebalance

▼上位足で下がる目的を達成したアルゴリズムは、下位足(1時間足)で見えるEqual Lowを追ってさらに下げる優先度が低くなり、Equal High(前月high)の更新を目指す...と考えられるからです。

smc immediate rebalance

▼同じ1時間足で少し拡大
この⭐️部分でSell side Liquidityを取りMSがBullishにシフトしているのもロング優位となるポイント。

smc immediate rebalance

▼結果的に、Discountでロングを積んだ後、Equal Lowを取りに行く気配を見せずにEqual Highを更新しにいきました。

smc immediate rebalance

▼ちなみに

より早くロングに入るために、最初の月足Immediate RebalanceでできたLowを信頼して、このDiscountでロングを検討するのはアリだと思います(より下位足でMSシフト⬆︎を判断する等)。

が、この場合は確実に1度は負けることになります。

smc immediate rebalance

以上、「Rebalance発生前後の文脈を考慮する」の2例目でした。

Immediate Rebalanceをリアルタイムで分析につなげていくのは実際にはなかなか難しいので、過去チャートからこのように「後付け解釈」をする練習を積んでいくと良いでしょう。

見逃しは痛い

  • "教科書的な"サポレジラインではないので見逃しやすい
  • 見逃すと、理解不能な値動きに見えてしまう
  • 見逃すと、誤ったBiasを持ってしまう可能性

▼教科書的なサポレジではない

もう一度、前の章で挙げたこのドル円日足の図を例に「見逃しやすさ」を説明します。

smc immediate rebalance

▼1時間足で拡大した同じ図で、一般的・教科書的な分析では、この矢印swing lowをサポートからレジスタンスへ転換するラインと意識する場合が多いかと思います。

smc immediate rebalance

▼ところが、実際にレジスタンスとして機能したのは、このswing low。

smc immediate rebalance

▲Immediate Rebalanceを知識として知らない場合、パッと下位足で見た時、他に目立つswing lowがある中で「この小さなswing lowが強力なレジスタンスになる可能性があるだろう」とは思わないはずです。

Immediate Rebalanceは、

  • 知識として知らないと絶対に気付けないライン
  • 知識として知っていても、上位足チェックを忘れると絶対に気付けないライン

▼見逃し=理解不能な値動き

すでに見てきた通り、上位足Immediate Rebalanceは下位足で「ピンポイントかつ急激な反転」を見せる可能性があるので、

月足〜日足チャートのチェックを忘れ、月足〜日足Immediate Rebalanceに気付かず下位足だけ集中して見ている...

こんな時に「えっ、なんでこんなところで大きく反応したんだ?」と理解不能で唐突な値動きに見えて冷静な判断ができなくなる...なんてこともあります。

▼見逃し=誤ったBiasにつながりうる

▼これを「5分足」だと思って見てください。

smc immediate rebalance

ひたすらダラダラ下げてて、弱いチャートだ

...と感じたはずです。

メンタルの状態によっては、「下がってるからショート入ろ」と安易な判断をしてしまうかもしれません。

▼では次に、日足チャートで「日足Immediate Rebalanceのラインをチェック済み」という前提で再び同じ5分足を見てください。

smc immediate rebalance

日足の不均衡を均衡することを目的に落ちてきてるだけでは...?
この後、急激に反転したりして...?

というふうに見え方・感覚が変わったかと思います。

▼実際、「タッチ直後に急反転」という値動きは十分にありえます(追いかけショートは危険)。

smc immediate rebalance

下位足になるほど難しい

「ICT Mentorship 2022」の中には、日足より下位の足、つまり「5分足でImmediate Rebalanceが起きた時は...」のような解説した動画はありません。

短期足になるほどImmediate Rebalanceの判断は難しいからです。

たとえば1分足のローソク足では、Immediate Rebalanceの候補となるラインが短期間に何本も引けてしまい判断が難しそうなことは想像しやすいかと。

1分足のImmediate Rebalanceだけに集中して毎分監視するわけにもいかないので、「Immediate Rebalanceとはどんなものか」を実感するには、まず月〜日足レベルで過去データを検証していくと良いです。

▼下位足のImmediate Rebalance

とはいえ、「日足より下位のImmediate Rebalanceも使えるのでは?」と思ったので書いておきます。

ICTの以下動画にて「他の要素と重ね合わせることで、日足より下位で起きるImmediate Rebalanceをエントリーにつなげる」という例を少しだけ解説している。

(Immediate Rebalanceに特化した解説動画ではなく流れのごく一部として解説)

▼ICTの動画(初学者向けではない)

How To Read Price With Or Without A Bias - April 29, 2024 >>

以下書く内容は本動画を元にしてはいますが、「この動画はこう解釈できるだろう」というぼく個人の考えが混じった内容であるという前提を受け入れた上でお読みください。

ICTは月足から1分足まで全部見るので、それにならってぼくも全ての足を見ますが、中でも1時間足(のFVG・OB)が個人的に気に入っています。

なので、「1時間足のImmediate Rebalanceはどうだろう?」と考えをめぐらせたことがあります。

そこで先ほど挙げたICTの動画を見て気付いたのが、

条件が揃えば、下位足Immediate Rebalanceも"FVG埋めと同等"に扱ってエントリーできるのでは?

ということ。

▼その条件

  • Biasが明確であること
  • Premium/Discount・OBなど他要素と重なること

▼例

ドル円1時間足のチャートです。

▼ここでImmediate Rebalanceが起きています。

smc immediate rebalance

▼Bias=Bearishで、このSell side Liquidityがターゲットであることが明白な状況とします。

smc immediate rebalance

▼Immediate RebalanceのラインがPremiumにあります。BiasがBearishの時にPremiumならショートが優位。

smc immediate rebalance

▼さらに、Bearish OBがほぼピッタリ重なっています。

smc immediate rebalance

この状況は「Premium + "FVG" + OB」が重なっているのとほぼ同じ状況と考え、Immediate RebalanceもしくはOBタッチでショートに入れば良い、と考えられます。

FVGは存在していませんが、Immediate RebalanceとFVGの本質は共通だと前の章で書きました。

▼1時間足の別の例

・・・

とこんなふうに、他にもPremiumやOBと下位足Immediate Rebalanceが重なって(FVG的な機能を果たすことで)反応する例がたくさん見つかります。

まとめ

色々と細かく書いてきたので、もう一度要点をカンタンにまとめ。

Immediate Rebalanceは、

  • アルゴリズムがFVG生成を待たずに「即、不均衡を均衡しにくる」こと
  • 月/週/日足レベルのImmediate Rebalanceは、"強力な"サポレジになり得る
  • 「どういう状況で発生したか」をよく考える
  • 上位足レベルの見逃しは痛いのでチェックを忘れない

Immediate Rebalanceは一度知れば視覚的な判別はすぐできるようになりますが、月〜日足チャートのチェックし忘れが起きやすいので注意します。

「え、なんだこの値動き」となった後になってImmediate Rebalanceに気付いた時の悔しさといったら...(^^;

・・・

▼SMC解説記事

SMCにおけるLiquidityの基礎

ICT フェアバリューギャップ/Fair Value Gapの基礎

ICT Premium/Discountの基礎

ICT オーダーブロック/Order Blockの基礎

11万円SMC日本語商材の信頼性をICTガチ勢の観点で推論

▼最後に

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