ICT キルゾーン/Killzoneの基礎

- ICT SMC -
2024.11.20
ICT killzone/キルゾーン

SMCにおける「ICT キルゾーン/Killzone」という概念の基礎について書いていきます。

▼ICT Killzoneとは

  • アルゴリズムがLiquidity・FVG(不均衡)を求めて活発に動く時間帯
  • だから、この時間帯を狙ってエントリーする

▼Killzone4種:NY基準時間

  1. Asian Killzone:19:00 - 00:00
  2. London Killzone:02:00 - 05:00
  3. NY Killzone:07:00 - 10:00 ※
  4. London Close Killzone:10:00 - 12:00

※ S&P500・NASDAQ・Dowなど米国株インデックス先物をトレードをする場合は、NY killzoneは「08:30 - 11:00」

▼Killzone4種:日本基準時間・冬

  1. Asian Killzone:09:00 - 14:00
  2. London Killzone:16:00 - 19:00
  3. NY Killzone:21:00 - 00:00
  4. London Close Killzone:00:00 - 02:00

※ 日本時間で設定する場合、米サマータイム期間中はマイナス1時間

▼アルゴリズムが基準とする時間は全てNYなので、チャート設定をNYにしておくと良い。(サマータイム切替を意識する必要もなくなる)

ict killzone/キルゾーン

▼前提事項

▼以降、記事中に貼るチャート画像は各Killzoneの時間帯を色で分けています(画像ごとに文字を入れるのはツラかったので)。

ict killzone/キルゾーン

「色が薄くて見づらい...」という場合、申し訳ないですがディスプレイ明度を上げて対応してくださいm(_ _)m

本記事は、LiquidityFVGPremium/Discountの基礎知識がある前提で書いています。

各概念を説明なく使うので、概念の詳細は各記事で読んでください。

▼参考

SMC解説記事の"読むべき順番"について

ICTは、Killzoneを「session/セッション」と呼ぶことも多いです。

動画内で「Asian session、London session、NY session」などと言及される場合、全てKillzoneと同じと考えて問題ありません。

本記事内容は、情報の信頼性を担保するため、SMC考案者であるICTがYouTubeで公開している以下動画内で解説されている事に基づいています。

▼参考動画

ICT Mentorship 2022 動画プレイリスト >>

Fiber Short - Asian Session Example >>

ICT Forex - Implementing The Asian Range >>

※ ICTはNY killzone以降が主戦場なので、Asian killzoneに関する解説はほぼない

結論:Killzoneでエントリーせよ

何のためにこれらKillzoneが定義されているか?

それは、エントリーをするため。

トレーダー目線では、この一言でKillzoneの要点は終わりです。

ちなみに:

ICTがKillzone外でエントリーすることはありません。
(指標発表がKillzone外にある時を除く)

メリット:良い意味で自分を縛る規律になる

たとえば平日昼間仕事があって大変な人は、

NY Killzone(日本時間で冬:21:00 - 00:00/夏:20:00 - 23:00)

の3時間の中だけ集中できれば良い。

それ以外の時間はチャートを気にしない。

NY Killzoneが終わったらチャートを閉じて即寝る(なり別の有意義な時間にする)。

...というルールを設定できるようになり、生活サイクルに健全な"規律"が生まれます。

在宅勤務等で「いやー、実は好きなタイミングでチャート見放題なんだよね」という方は、Killzoneを適用することで、

(Killzone外の時間帯なのに)
なんとなくチャートをずっと眺めてしまう...

なんとなくエントリーしてしまう...

という無駄な時間・無駄な負けをなくすことができます。

極端な話「Killzone外にチャートを見る必要はない」ということなので。

(もちろん、Killzone開始前にKillzone開始後のシナリオを分析できていることが最善ですが)

ちなみに:

利確はKillzone外でもOKです。

デメリット:規律を守れるか?

Killzoneは「自分がどれほど我慢強いのか(弱いのか)」をあぶり出す概念。

Killzoneを知りKillzoneを適用し始めてまもなく、

Killzone外に超エントリーチャンスがあったじゃねぇかよ!!

と頭を掻きむしりたくなるほどの怒り・あきれ・後悔を経験することになるかと思います。

そして、それをトリガーにメンタルが崩れてしまい、Killzoneに入ってから焦ってテキトーなエントリーをしてしまい大敗する...

こんなことが起きます。

しまいには、

Killzoneって、守らなきゃダメ...?もうKillzone考えなくて良くない...?

という疑念すら抱くようになるかもしれません。

▼Bearishなとき、London KillzoneとNY Killzoneの間でEqual Highを取ってしまい大暴落が始まってしまった例(NY Killzoneでもひたすら下がるばかりでエントリーチャンスなし)

ict killzone/キルゾーン

▼London Killzone終了直後にFVGロングのチャンス...の例

ict killzone/キルゾーン

▲このような例は無数にあって挙げきれませんが...。

このように、Killzoneを適用することで新たに生まれる可能性があるストレスがデメリットと言えるでしょう。

言い換えれば、「しゃーない、次のチャンスを待つか。これが"規律を守る"ということなんだ...」と冷静に受け流すメンタル・忍耐力を鍛えるツールになるとも言えます。

・・・

ここは少し発想の転換をして、

Killzone外に超エントリーチャンスがあったのを逃した...キレそう...

という場合があるならば、

Killzone外だけどエントリーチャンスに見えたからエントリーしたら負けた...キレそう...

という場合もあるので、「killzoneを適用していれば防げる負けがある」と考えると良いかと。

ICTは、"規律(Discipline)"をトレーダー必須スキルとして重要視します。

Killzoneという考え方を適用するからには、

「最近はよく読めてて調子良いからKillzone外だけどチャンスだからエントリーしよ」

...というふうに気分でやることをコロコロ変えることをICTは許しません。

Killzone=アルゴリズムが活発化

トレーダー目線ではなく、アルゴリズム目線で。

Killzoneはアルゴリズムが活発に動き出すため、

  • キーとなるLiquidityを取りに行く
    → 既存ロング/ショートを狩る・トレンドを勘違いさせる
  • キーとなるFVG(不均衡)を埋めに行く
  • Premiumへショートを積みに/Discountへロングを積みに行く

というアルゴリズムの基本原則に従った意図がチャートに現れやすくなる時間帯。

つまり、Killzoneでは、

  • 大きく上昇/下落を始める「前触れ」的な動きを見せる
    → その多くは"アルゴリズムが本当に行きたい方向の逆・フェイク"の動き
  • 前触れを見せたあとに、大きく動きがち

キーとなるLiquidity/FVGを求めに行く

例は探せば無限に見つかるので、以下はあくまでも参考程度に。

▼Bullishなとき、Sell side Liquidityを取る → Equal Highを形成 → 現在NY Killzone開始直前、という状況を仮定します。

ict killzone/キルゾーン

▼このとき、「NY Killzoneが始まったあと、このあたりを"上昇前の前触れ"としてまず狙ってくるのでは?」と考えられる、ということです。

ict killzone/キルゾーン

▼つまり。

ict killzone/キルゾーン

▼NY Killzone開始後の結果。

ict killzone/キルゾーン

・・・

その他の例。

▼Asian killzone:Equal Lowを一掃しそれをトリガーに反転上昇

NY killzone:Buy side Liquidityへ

▲上昇開始前にAsian KillzoneでEqual Lowを取ることで、既存ロンガーを退場させているのがポイント

・・・

▼London Killzone:Sell side Liquidityを取りつつDiscount FVGを埋め、それをトリガーに反転上昇

NY Killzone:Buy side Liquidityへ

ict killzone/キルゾーン

▲London Killzone開始前にロングした人たちを、London Killzoneでストップ狩り後にBuy side Liquidityへ上昇しているのがポイント

・・・

▼London Killzone:Buy side Liquidityを取りつつPremium FVGを埋め、それをトリガーにSell side Liquidityへ急落

ict killzone/キルゾーン

▲下落開始前にLondon KillzoneでBuy side Liquidityを取ることで、既存ショーターを退場させているのがポイント

・・・

▼Asian Killzoneから形成されたEqual Highを、NY Killzoneで取り、それをトリガーに反転下落

London Close Killzone:Premium FVGを埋めに上昇→再び反転下落

ict killzone/キルゾーン

▲下落開始前にNY KillzoneでEqual Highを取ることで、既存ショーターを退場させているのがポイント

・・・

多くの日において、Killzoneの中でこのような上昇/下落が始まる「前触れ」が発生しそのあと大きく動く...といったことが繰り返される。

その「チャンスとなる前触れ動作」がKillzone内で発生する可能性が著しく高いのであれば、Killzone内に100%集中しよう...という考え方がKillzoneでした。

Killzone 分析参考Xポスト

過去、XにポストしたKillzone関連のポストです。

Killzoneに入った後の値動きの特徴を参考にしてください。

Killzoneの背景色インジケーターが便利

チャート分析に熱中しすぎてKillzoneになったことを忘れてた...

過去チャートで勉強するとき、Killzoneがパッと見で分からんのはツラすぎ...

ということがあるので、↓自動的に背景色をつける無料のインジケーターを使っています。

ict killzone/キルゾーン

▼TradingView使いの方は、インジケーター検索で「killzone」と検索すれば無料で使えるものが色々出てくるので試してみてください。

ict killzone/キルゾーン

個人的に「ICT Sessions[killzones]」というインジケーターを使っています。

(デフォルト状態だと、余計なラインが表示されたり色・明度が気に入らなかったりで設定が面倒でした...)

背景色をつけるだけなら、このうちのどれを使っても対して変わらないかと思います。

・・・

これで本記事の趣旨は終了です。

以降は「ICTがいかに"時間"を重要視しているか」に関するコラム的なものとして参考程度にどうぞ。

参考:アルゴリズムが"最も重要視"するのが時間

ICT Mentorship 2022 Episode 6 >>の動画内で、"時間"の重要さについて以下のように説明しています。

アルゴリズムが重要視するのは、"時間と価格"だ。

そして、最も重要なのが"時間"

だから"今、1日の内のどの時間帯なのか"という要素は分析において必要不可欠だ。

一般トレーダーは「今PC/スマホを使う時間あるからトレードしよう」程度しか時間に対する意識を持っていない。

▼以下原文:

What they(Algorithms) are specifically looking at is "Time and Price".

The most important thing is "Time".

Time is the most crucial element. So time of day is vital when we're engaging price.

Retail doesn't really have any understandings for time, except for the fact that they have time now to trade and they're in front of their computer or phone.

同じ動画の別のパート >>にて、時間は「first element」、つまり他の何よりも優先すべき最初の要素。

アルゴリズムの動作基準となる、第一番目の要素は"時間"だ。

▼以下原文:

Algorithms, the first element they operate under is "Time".

ICT Mentorship 2022 Episode 39 >>にて。

"時間"の概念を組み込まない限り、値動きの分析には何の意味もない

▼以下原文:

Price levels are useless until Time is considered.

"useless=役立たず"というかなり強い言葉を使っています。

・・・

とこのように、ICTは「考慮すべきはまず時間であり値動きはその次」という、くつがえることのない絶対的な優先度を設定しています。

その重要な"時間の概念の1つ"が、「Killzone」というわけでした。

記事最初の方で「ICTはKillzone外でエントリーすることはない」と書いた理由が、これら引用部分の力説から分かります。

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