FVG:上位足が下位足を支配する原則

本記事は、以下FVG基礎の解説を読んでいる前提で書いています。
「上位足に存在するFVGの重要性」について書いていきます。
- アルゴリズムは上位足のFVGを埋めにいくので、月足・週足・日足のチャートは忘れずにチェック
- 上位足FVGを埋めたら大きく反転する起点となるかも?要チェック要注意
- 下位足への集中しすぎ(ひたすら1分足を見続ける等)に要注意
→ 上位足は下位足に対し支配的な影響を与える...これを念頭に置く
FVGは、Liquidityと並んで、
上がる可能性が高い状況なのか?
下がる可能性が高い状況なのか?
アルゴリズムは具体的にどこをターゲットに上がろうとしているのか?
アルゴリズムは具体的にどこをターゲットに下がろうとしているのか?
という「Bias/バイアス」の分析に必要不可欠な要素の1つです。
チャート上で「上位足FVG」の位置はかならず把握しておきましょう。
本記事内容は、情報の信頼性を担保するため、SMC考案者であるICTがYouTubeで公開している以下動画内で解説されている事に基づいています。
▼SMC初学者向け動画
スマホではチャート画像が見にくいため、PCからアクセス・閲覧を推奨
ー もくじ ー
大局を決めるのは、月足・週足・日足
アルゴリズムは、上位足のFVGを均衡しにいく
→Bias(バイアス)を判断する大きな根拠のひとつになるので、この認識は重要
上位足のFVGほど埋めたあとの反応が大きい可能性
アルゴリズムは上位足のFVGを均衡しにいく
以下、ドル円 月足(最上位)チャート。
Q.
▼歴史的162円から暴落→140円付近の月足Sell side Liquidityを取ったあとに反転上昇したが、どこへ向かって上昇したか?
"Sell side Liquidity"が分からない場合はこちら
A.
▼上昇した先には「月足FVG」がありました。
Q.
▼月足FVG埋め→月足OBに刺さったあと反転下落。
どこへ向かって下落したか?
"OB"が分からない場合はこちら
A.
▼「埋め残しの月足FVG」を埋めに下落していきました。
▼別の例
以下、ユーロドル 月足。
Q.
アルゴリズムは月足レベルのPremium(赤枠部分)でショートを積んだあと、下落。
どこへ向かって下落したか?
"Premium"が分からない場合はこちら
A.
▼月足FVGへ向かって落ちていきました。
▼その後
Discount 月足FVGを埋めたら... → 一気にBuy side Liquidityへ
▲後の章で書く「上位足のFVGほど埋めたあとの反応が大きい」の例でもあります。
▼別の例
ゴールド 日足チャート。
▼2025年2月24日、3,000ドル付近で頂点をつけた後、翌日に日足Bullish FVGを全埋めして上昇継続するか...と思いきや、FVGを下抜け。
さて、これはどこへ向かって落ちていると考えられるでしょうか?
キーは週足。
▼つまり「週足FVG」が存在していたのでした。
▼この週足FVGに引き寄せられていく日足の図。
▼このとき、「Bias=Bearish」という前提でショートを検討する...等と分析する妥当性がある状況。
▼上記の翌日を1時間足で見てみると、日本時間10時のローソク足で、FVG + OBの重なるショートチャンスが見つかります。(日本時間10時はAsian Killzone内でもある)
ぜひ、ご自分で実際にチャートを開いて見てみてください。
上位足のFVGほど埋めたあとの反応が大きい可能性
ここまでは、FVGを「埋めに向かうまで」の例でしたが、
次は、
FVGは埋められた後、結果的にサポート/レジスタンスとして機能する
...という基本性質を思い出してください。
▼ビットコイン(ドル建て) 月足チャート。
Q.
48,900ドルから、倍以上の109,880ドルへ高騰したキッカケは何か?
ぜひ、ご自分でビットコインの月足チャートを開いて見てみることをおすすめ。
・・・・・・・・・・・・・・・
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・
A.
▼月足FVGをほぼピッタリ埋めた直後に急反転・急上昇。
FVGの値幅の広さを考えると、誤差はほぼなしと言っていいほどの精度でした。
▼別の例
ゴールド日足チャートで、2500ドル → 3,000ドル付近へ高騰するキッカケになったのが...
▼月足FVGを埋めたことがキッカケでした。
▼月足FVGを埋めて大きく反転上昇した後は、日足レベルのFVGを埋めながらその勢いを保持して3,000ドル付近まで一気に上昇。
このように、月〜日足レベルで確認できるFVGは、それ単体で大きな影響力があります。
当たり前のことですが、「月足FVGを埋める→かならず反転する」という単純な話ではない点に注意します。
月足〜日足チャートの確認を怠らない
やっべー、そういや月足(週足/日足)FVGがあるんだった忘れてた...
などというのは致命的な判断ミスにつながります。
SMCという概念を用いて分析する以上、「アルゴリズムとはどう動くものなのか」を理解する必要がある
↓
アルゴリズムは中期・長期的には月〜日足のFVGを埋めに向かう
↓
月〜日足FVGのチェックし忘れる=アルゴリズムの意図に沿った判断が不可能
(BiasはBearishなのにひたすらロングしてしまう...等)
・・・という具合。
月足は月に1本、週足は週に1本しかローソク足が進まないのでついチェックを忘れがち。
気をつけましょう。
これまで「月〜日足レベルのFVGはチェックし損ねてたな...」という方は、
上位足FVGの位置を忘れずにチェックしておくだけでも、「アルゴリズムは価格はこっちへ引き寄せているのでは?」という推測が経験値として貯まっていくはずです。
ありがちなミス:より上位のFVG見逃し
前の章では「上位足=月足・週足・日足」という意味合いで書きましたが、本章で書く「上位」とは、「1分足に対する5~15分足(やそれ以上の足)、5分足に対する15分足/1〜4時間足」という相対性を意味するものとします。
もう1つ2つ上位の足を見て、このFVGに気づいていればエントリーできたか...
と悔しい思いをするのはよくあること。
つまり、
1分足を見ていて、5分足FVGを見逃す
15分足を見ていて、1時間足FVGを見逃す
1時間足を見ていて、4時間足FVGを見逃す
1分足を見ていて、1時間足FVGを見逃す
4時間足を見ていて、日足FVGを見逃す
...など「下位足に集中しすぎてそれよりも上位足の確認を忘れる」といったことですね。
上位足の影響力が下位足を支配する
これが基本。
1分足にFVGはないが、実は5分足にあった...的な例
▼5分足の影響力 > 1分足 の例
以下、1分足チャート。
「埋め残されたFVGが存在しない」ので、なぜここで反応してBuy side Liquidityを取りに上昇したのかいまいち納得しづらい。
▼1分足ではなく、より上位の5分足で見ると...
「ここしかないDiscount FVG」が存在。
Discount FVGがサポートになり反転 → Buy side Liquidityをアタックした...という流れが、1分足から5分足へ切り替えることでハッキリと分かる例でした。
"Discount"が分からない場合はこちら
▼1時間足の影響力 > 15分足 の例
以下15分足チャート。
「埋め残されたFVGが存在しない」ので、なぜ矢印部分で反応しEqual Lowへ向かって下落したのかいまいち納得しづらい。
▼15分足ではなく、より上位の1時間足で見ると...
「ここしかないPremium FVG」が存在。
Premium FVGがレジスタンスになり反転 → Equal Lowをアタックした...という流れが、15分足から1時間足へ切り替えることでハッキリと分かる例でした。
▼4時間足の影響力 > 1時間足 の例
▼1時間足チャートのこの部分。FVGはない。
▼4時間足チャートで見ると、FVGが存在しさらにOBが重なっており、1時間足で見るよりも上昇した理由に納得感がある。
FVGに慣れてくると、このように「短期足では全くチャンスに見えないが、さらに上位の足で見ると"もうここしかない"チャンスに見えてくる」という経験を何度もすることになるかと。
15分足にFVGがあって1時間足にもあった...的な例
▼1時間足の影響力 > 15分足 の例
▼この15分足Discount FVGまで深く引きつけてからロングをしよう...と考えていたところ、届かずに反転してしまった。
▼1時間足で見ると、「ここしかない1時間足FVG」をちょうど埋めたところで反転。
▲15分足のFVGへ届かなかったのは、それよりも上位の足となる1時間足にFVGがあったから...という例でした。
・・・
これら「上位足FVGが下位足を支配する」という考え方の根拠を、ICTの動画から以下引用しておきます。
▼引用元ICT Mentorship 2022 Episode 12
(1時間足に表示された日足FVGを見ながら)
日足チャートを"親"と考える。
つまり、日足より下位足の値動きは日足に対して従属的になるということだ。ーーー 以下原文 ーーー
I'm expecting the daily chart to be the parent of this price structure.
All minor lower time frame swings are going to be subordinate to it.
▼引用元ICT Mentorship 2022 Episode 18
(5分足チャートに表示した15分足FVGを見ながら)
上位足のFVGは、それより下位の足の"親"となる。
この場合、15分足FVGが(5分足チャートの)親だ。
ーーー 以下原文 ーーー
Higher time frame imbalances(=FVG) are going to be parent to the subordinate smaller time frames.The parent is this 15minute time frame imbalances(=FVG)
▼引用元ICT Mentorship 2022 Episode 16
5分足だとクリーンに見えないFVGが、15分足だとクリーンに見えることに注目。
上位足を見なくてはいけない。上位足はフレームワークを提供してくれる。
ーーー 以下原文 ーーー
Notice it does not look clean like it does on 15 minutes time frame.
You got to look at the higher time frame. Higher time frame is providing you the framework.
もちろん、たとえば1時間足FVGを突き抜けてさらに下位足である15分足FVGまで埋めにくる可能性もあります。
実際にチャートを観察してみれば、より下位足のFVGを埋めに行っているように見える場合もあるはずです。
とはいえ、「上位足の影響力が強いというのが"基本"」という点は頭にいれておくと、いずれ「なるほどなぁ...」となる瞬間がくるかと。
まとめ
再度、結論を。
- アルゴリズムは上位足のFVGを埋めにいくので、月足・週足・日足のチャートは忘れずにチェック
- 上位足FVGを埋めたら大きく反転する起点となるかも?要チェック要注意
- 下位足への集中しすぎ(ひたすら1分足を見続ける等)に要注意
→ 上位足は下位足に対し支配的な影響を与える...これを念頭に置く