ICT フェアバリューギャップ/Fair Value Gapの基礎

- ICT SMC -
2024.06.15
フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

ICT Fair Value Gap(FVG)とは、視覚的には以下の黄色枠部分のことです。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

ICT SMCの根幹概念とも言える、超・重要なFVGの「基礎の基礎」について以下書いていきます。

  • FVGの定義(FVGをチャート上で正しく視認する方法)
  • FVGの性質・効果
  • 効くFVG、効かないFVGの典型例

FVGのスゴさを一度知ると、二度と以前と同じチャートの見方ができなくなることでしょう...。

  • FVGは「価格を引き寄せる性質」がある

そのため、

  • FVGはエントリーポイントとして使える
  • FVGは利確ポイントとして使える

▼価格を引き寄せる性質を持つ理由

  • アルゴリズムが、価格を「不均衡状態」から「均衡状態」にするようプログラムされているから

▼効きやすいFair Value Gap

  • バイアスが合っていること
  • 他の要素と重なること

ちなみに:

本記事内容は、情報の信頼性を担保するため、SMC考案者であるICTがYouTubeで公開している初学者向け動画「ICT Mentorship 2022」内で解説されている事に基づいています。

参考ICT Mentorship 2022 動画プレイリスト >>

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スマホではチャート画像が見にくいため、PCからアクセス・閲覧を推奨

ICT フェアバリューギャップ/Fair Value Gapの定義

FVGは、以下2種類。

  1. Bullish FVG
  2. Bearish FVG

FVGは「チャートを見た時、すぐに視認できるようになる」ことが最初の一歩

「FVGはHidden Gap(ヒドゥンギャップ)とも呼ばれる」などネット上で書かれることがありますが、ICTがHidden Gapと呼称したことはありません。

ICT以外の第三者が勝手に別名をつけただけなのでご注意。

1. Bullish Fair Value Gap

  • 3本の連続したローソク足を見て、
  • 「1本目の高値」と「3本目の安値」が重なり合わない時、
  • その間のギャップがBullish FVGとなる
    → 必然的に、2本目は陽線になる

FVGは文章で覚えるより、視覚的に覚えた方がずっと早いです。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼この場合は、以下白線で引いた間の部分も条件を満たすのでBullish FVGになります。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

2. Bearish Fair Value Gap

  • 3本の連続したローソク足を見て、
  • 「1本目の安値」と「3本目の高値」が重なり合わない時、
  • その間にできたギャップがBearish FVGとなる
    → 必然的に、2本目は陰線になる

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

3本のローソク足の色の組合せは関係ない

上記例では、たまたまBullish FVG=3本連続陽線・Bearish FVG=3本連続陰線でしたが、同じ色のローソク足が3本並んでいる必要なし。

陽線・陰線の組合せを気にする必要はありません。

▼真ん中が陽線ならBullish FVG

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼真ん中が陰線ならBearish FVG

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

という程度で覚えておけば問題ないでしょう。

慣れてくれば、これはBullish?Bearish?などと考えるまでもなく無意識で判別できるようになってきます。

ローソク足3本のヒゲとヒゲの間に空間があれば、それがFVGです。

Fair Value Gap 視認トレーニング

全てのFVGを見つけてみてください。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

//////////// 回答はこの下 ///////

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////////////

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////

▼正解

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

定義的には、わずかなギャップでもFVGとなります。

Fair Value Gapの性質

FVGは、何に使えるのか?について。

  • FVGは「価格を引き寄せる性質」がある
  • Bullish FVGは「サポート」として機能する
    → ロングのエントリーポイントになり得る
  • Bearish FVGは「レジスタンス」として機能する
    → ショートのエントリーポイントになり得る
  • 利確のターゲットになり得る
  • FVGは一度に全てを埋めるとは限らない

ひとつずつ順番に。

FVGは価格を引き寄せる

FVGが生成されると、価格はそのFVGを埋めに来ようとします。

▼埋めに上がる→下落、埋めに上がる→下落...

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼埋めに下がる→上昇、埋めに下がる→上昇...

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

つまり、

「なぜ価格は今そっちの方向へ向かっているのか?」

という問いに対して

「そっちにFVGがあるから」

価格が向かう根拠になり得るということです。

なぜそういう性質があるのか?は後の章で書いているので、現時点では「FVGとはそういうもの」という認識で問題ありません。

Bullish FVG = サポート = ロング

  • 埋めた後に上昇 = サポートとして機能する
    → ロングのエントリーポイントになり得る

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

Bearish FVG = レジスタンス = ショート

  • 埋めた後に下落 = レジスタンスとして機能する
    → ショートのエントリーポイントになり得る

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

FVG = 利確ターゲットの1つ

「価格を引き寄せる性質がある」ということは、エントリーだけでなく、エントリー後の利確ターゲットの一つとしても考えられます。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

FVGを一度に全て埋めるとは限らない

「FVGは埋められる」とはいえ、当然のことながら"絶対"はありません。

▼ほんのわずか埋めたのみで反転するパターン

これは、一方的な強いトレンド中で深いリトレースメントが望めない時に発生しやすい。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼少し埋めた後、再度埋めにくるパターン(まだ埋め残しあり)

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼FVG全部埋め→(複数回)突き抜けるパターンもあり(それでも結果的にサポートとして機能している)。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

また、当然のことながら「何年も埋めに来ないまま残ったFVG」もあります。

【参考】No FVG, No Tradeの原則

本記事冒頭で紹介した、SMC初学者向けのICTの動画「ICT Mentorship 2022」では、

No FVG, No Trade
→ 必ずFVGでエントリーしろ、もしFVGがないならエントリーをするな

という原則を守るよう指導しています。

それほど、FVGはロング/ショートする際の重要な根拠として考えられています。

Fair Value Gapが価格を引き寄せる理由

  • アルゴリズムが、価格を「不均衡状態」から「均衡状態」にするようプログラムされているから

▼アルゴリズムとは

SMCは、

Interbank Price Delivery Algorithm(IPDA/イプダ)というアルゴリズム(=AIプログラム=自動売買ソフトウェア)によって、全ての値動きが操作されている

...という前提で理論が成り立っています。

アルゴリズムが、価格の不均衡を均衡にするようプログラムされている

FVGをもう少し細かく説明すると、

  • ローソク足がsell sideかbuy sideどちらか一方のみに偏った不均衡な状態のこと

を指します。

▼以下、Bullish FVGの黄色枠部分はbuy sideのみ提供され、sell sideが提供されていないため、不均衡状態です。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼以下、Bearish FVGの黄色枠部分はsell sideのみ提供され、buy sideが提供されていないため、不均衡状態です。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

アルゴリズムは、

  • 一方向にのみ売買が提供された状態を示すFVGを「不均衡状態」と見なし、
  • その不均衡状態を、反対売買を提供することで均衡状態にする
  • 均衡状態にした後に、本来動くべき方向へと動き出す

ようにプログラムされている

...ので、結果的に「FVGを埋めに来ているように見える」ということになります。

▼buy sideのみ提供されているFVG(不均衡状態)をsell sideを提供しに行くことで均衡状態にし、その後に上昇継続

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

ドル円日足を例に、ここまでのおさらい

160円に到達後、為替介入もあり2024年5月3日に151円台まで一気に下落しました。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

ここで、

なぜ151.8円で下げ止まったのか?を上図から考えてみてください。

ヒントは、これまで書いてきた以下3点です。

  • FVGは価格を引き寄せる
  • 価格を引き寄せる理由は、アルゴリズムがFVGを不均衡状態とみなし、均衡状態にするようにプログラムされているから
  • 結果的に、FVGはサポート/レジスタンスとして機能する

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・

・・・・

・・

▼正解です、日足のFVGがあるからですね(週足を見ると、週足FVGにもなっています)。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

このFVGは、buy sideしか提供されていない不均衡な状態でした。

そのため、sell sideを提供して均衡状態とするために降りてきた、というわけです。

わずか8pipsの誤差のみの精度で、FVGを埋めた後に急反転しています。

これは偶然ではなく「アルゴリズムがそういうふうにプログラムされていて、その通りに動いているだけ」ということ。

「FVGはそういう性質がある」と理解していて、ここがサポートになる可能性を事前に予測していたとしたら、ロングをする大きなチャンスになり得ることは想像できるかと思います。

▼ちなみに

その後の上昇→下落時も、Bullish FVGを埋めた後に反転上昇しています。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼ここは、Bullish FVGだけでなくBullish Order Block(OB)も重なっているため、FVG単体よりも強固なサポートになっています。
(Order Blockは別の記事で書く予定なので詳しくは省略)

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

「FVGが他の要素と重なる」というのが、次の章で書く「効きやすいFVG」のポイントになってきます。

効きやすいFair Value Gapとは

FVGは、見つけようと思えばそこら中に存在します。

「どんな場合にどのFVGが効きやすいのか?」ということについて。

【大前提】バイアスが合っていること

  • バイアスがBullish = Bullish FVGが効き、Bearish FVGは効きにくい
  • バイアスがBearish = Bearish FVGが効き、Bullish FVGは効きにくい

つまり、自分が狙ったFVGが効かない=価格の方向性(バイアス)を読み間違えていることを示すサインのひとつ

※「バイアス」という用語にしっくり来ない場合は単純に「トレンドに逆らうな」と置き換えてください(正確にはバイアス=トレンドではない)

私が引いたFVG、全く効かないんだけど!?

というのがFVGが分かり始めた時によくある問題。

FVGが効くか効かないかはその時間足における「バイアス」の認識が合っているかどうかによります。

▼バイアスとは

価格が向かう方向性のこと。

価格が上昇する可能性が高い状況=バイアスはBullish

価格が上昇する可能性が高い状況=バイアスはBearish

▼話を単純化するため、極端に一方的に上昇している状況(バイアスがBullish)があるとします。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼バイアスがBullishの時は、Bearish FVGがレジスタンスとして効く可能性は低くなります。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼バイアスがBullishなので、Bullish FVGがサポートとして効きやすくなります。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

つまり、狙ったFVGでエントリーして損切りとなってしまった場合は、

  • 本当はBullishなのに「Bearishだ」と読み間違いをしている
  • 本当はBearishなのに「Bullishだ」と読み間違いをしている

かもしれない...と冷静に考え直すきっかけとするのが良いでしょう。

グングン上昇中にも関わらず、そろそろ下がるだろうという自分の願望をマーケットに押し付けてひたすらBearish FVGでショートをし続けてしまう...

というのは「あるある」です。

FVGが効かないということは「あなたのバイアス認識、間違っているかもよ?」とマーケット側からヒントをささやいてくれていることになります。

そうなったら一度冷静になってエントリーボタンから離れましょう。

Premium/Discount + Liquidity が重なるFVG

典型的にFVGが効きやすくなる例は、以下の要素がFVGと重なる場合です。

  • Premium/Discount
  • Liquidity

Premium/Discountとは

フィボナッチ・リトレースメント(fib)0.5をswing low → swing highで引き、

  • 0.5より上がPremium=高すぎゾーン=アルゴリズムはショートを積む
  • 0.5より下がDiscount=安すぎゾーン=アルゴリズムがロングを積む

というSMCにおける考え方のこと。

1つよりも2つ・2つよりも3つとより多くの要素がFVGと重なることで、そのFVGの信頼性が高まります。

▼Bullishパターン

「バイアスがBullishという前提」で、以下を満たすFVGがある場合にロングが成功しやすい。

  • fib 0.5をレンジで引き、0.5より下にあるdiscount FVG
  • Liquidityを取ると同時に埋められるFVG

fair value gap フェアバリューギャップ

▼同じパターンの別例

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

上記の場合はFVGを下に突き抜けていますが、ローソク足の実体はFVGの下辺ぴったりでクローズしている点に注目。

▼同じパターンの別例

▼ちなみに、1つ上の「おさらい」章で解説したドル円日足の例をみても、FVGにDiscountとLiquidityが重なっていることに注目。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼Bearishパターン

「バイアスがBearishという前提」で、以下を満たすFVGがある場合にショートが成功しやすい。

  • fib 0.5をレンジで引き、0.5より上にあるpremium FVG
  • Liquidityを取ると同時に埋められるFVG

fair value gap フェアバリューギャップ

▼同じパターンの別例

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼同じパターンの別例

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

▼同じパターンの別例

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

ちなみに、以下⬆︎と同じチャートでさらに1つ上にFVGがありますが、このようにショートエントリーを「高望み」しすぎると逃す場合があります。

フェアバリューギャップ fair value gap/FVG

Fair Value Gap まとめ

「FVGは価格を引き寄せる」という特性から、

エントリーポイントになったり、
利確ポイントになったり、
「このFVGに引き寄せられているのではないか?」という価格の向かう方向性の分析根拠になったりと、

多様な役割を果たします。

SMCにおいて最も重要な要素といっても過言ではありません。

なので、まずはとにかく「FVGをすぐに視認できるようになること」が第一歩。

これはFVG? FVGではない?

...と迷うことがなくなるまで、「視認できるようになることだけ」を目指してチャートでFVGを引きまくってみてください。

狙ったFVGが効く効かないは、正確に視認できるようになってからの話です。

参考情報

X(Twitter)ポスト

以下に、ぼくがFVGについて過去ポストしているものを絞り込んだX(Twitter)のリンクを置いておきます。

ほぼ全てのポストでFVGを引きながら分析したチャート図を添付しているので、FVGの引き方・エントリー例など参考にしてみてください。

▼X(Twitter) リンク

https://x.com/search?q=from%3AYUK1_WORLD%20fair%20value%20gap&src=typed_query&f=live

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FVGの有用性が理解できて初めて、オーダーブロック/Order Blockが分析に役立つようになります。

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